映画を「面白い」としか言えない人は何が足りないのか…そのとき意見を言える人が"頭の中でやっていること"

AI要約

言語化が上手い人は、全体を見るだけでなく詳細を見つめる習慣を持っている。

電車の中での観察を通じて、物事を詳細に捉えることが大切である。

言葉にならない部分を鮮明に捉える練習を続けることが、言語化力の向上につながる。

言語化が上手い人は頭の中で何をしているのか。コピーライターのさわらぎ寛子さんは「言葉にするためには、何かを見るときに、ざっくりと全体を見ただけでわかった気にならず、詳細を見つめる習慣をつけることだ。例えば違和感、モヤモヤを感じたら、『何が一番(THE MOST)』『なぜ、そう感じるか(WHY)』の2つに分解し、『何が一番』と書き出した具体の中から1つを選んで言語化するといい。その1つがすべてではないが、漠然としたことを言うよりも、1つの具体的なことを言った方が伝わる」という――。

 ※本稿は、さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■言葉にできないのは、いろんなことを1つの大きな袋に入れているから

----------

観察① 周りをよく観察する

----------

 「うまく言葉にできない」という人の話を聞いていると、いろんなことを1つの大きな袋に入れているんだな、と思うことがよくあります。

 たとえば、映画の感想を言いたいとき。

 「昨日見た映画が面白かった」。

 これでは、その映画について何も伝わりませんよね。

 映画が面白いと思ったのには、「アクションがカッコよかった」「ラストシーンに感動した」など、いろんな理由があるはずです。

 この一つひとつの理由を、ボールとしてイメージしてみてください。

 「面白い」という1つの大きな袋に全部のボールを入れて、一つひとつのボールを見ようとしないと、「面白かった」としか感想を言えません。

 まずは、その袋の中に何が入っているか、全部のボールを出してみることです。

 一つひとつのボールを確認して、「今回は、どの話をするか」を相手に合わせて決めていく必要があります。

■電車の中で正しく観察する4つのポイント

 自分がいつも入れている「大きな袋」の中に何が入っているかを、詳細に見ることが、「観察」です。

 何かを見るときに、ざっくりと全体を見ただけでわかった気にならず、詳細を見つめる習慣をつけましょう。

 たとえば、あなたは電車の中で何をしていますか。

 スマホを見ている、音楽を聴いている、という方が多いように思います。

 まずは、電車の中でキョロキョロと周りを観察する癖をつけましょう。

 観察の大きな流れは、次のとおりです。

 1、ざっくりと全体を捉える

2、注目ポイントを決める

3、詳細を観察する

4、解釈する

 1、ざっくりと全体を捉える

 電車の中で、まず全体をざっと見ます。

 (例)平日朝8時の通勤電車なら、座っている人の9割、立っている人の8割ほどがスマホを見ているなぁ。今日は、少し冷えるから、上着を着ている人が多い。

 2、注目ポイントを決める

 次に、「注目する人(や場所)」を決めます。

 (例)少し離れたところにいる、座って本を読んでいる女性

 3、詳細を観察する

 あまりジロジロ見るのは失礼なので、変に思われない程度に観察をします。

 次に、その人の特徴から、生活を想像してみます。

 (例)年齢は、20代後半ぐらい。読んでいる本は、ハードカバーの小説。図書館のシールが貼ってある。髪型は、暗めのカラーのボブだけど、よく見ると、髪の内側に明るい色を入れている。

服装は、ネイビーのカーディガンに白いデニム。膝の上には、大きめの鞄と、小さなバッグ。保温性のありそうな素材っぽいので、中はお弁当かな。

朝起きてから、会社に行くまで、何をしているだろうか。6時に起き、お弁当を作って、洗顔、メイク、着替え、朝食。一人暮らしかもしれない。

 4、解釈する

 観察から見えてきたことに、解釈を加えてみましょう。

 (例)図書館のシールのついた本、お弁当を入れる小さめのバッグ、あたりから、丁寧で節約をした生活がうかがえる。髪の内側の明るいカラーからは、個性的でありたい、流行も意識していたい、という思いを感じる。

 こうして毎日、誰か一人に絞って、じっくり観察してみると、「通勤電車に乗っている人は、みんな疲れた顔をしている」なんていう、ざっくりとした捉え方ではなく、一人ひとりに物語があることがわかります。

■言葉にならない部分を鮮明に捉えられることが大切

 観察は、1日で終わらせず、続けていくことで、意味を持ちます。

 パッと見ただけではわからない、人と人の会話の中にある感情や、言葉にはなっていない表情、仕草、行動などをよく見ることで、「こういう人は、こういうもの」「こんなときは、だいたいこう」という思い込みを外し、実際に起きていることに目を向けられるようになります。

 大雑把に捉えていたできごとに対する解像度が上がるのです。

 解像度が上がって、ものごとが鮮明に捉えられるようになることが、「なんとなく」の言葉ではなく「自分の言葉」で考えることへの近道です。