大阪北部地震6年 被災地「トイレ問題」の解決へ 高槻市の取り組み

AI要約

大阪北部地震から6年を迎える高槻市が、マンホールトイレの配備を進める取り組みを行っている。

マンホールトイレは、下水道管に連結して便器を設置し、災害時に使用可能となるシステムである。

能登半島地震でトイレ不足が深刻化したことから、市は災害時のトイレ問題への対策を強化している。

 2018年に起きた大阪北部地震から18日で6年を迎える。最大震度6弱を観測した大阪府高槻市は、災害に強いまちづくりの一環として小中学校にマンホールトイレの配備を進めている。元日の能登半島地震でも被災地の「トイレ問題」が課題となるなかで、市は27年度までに設置が可能な全ての学校への配備を目指す。

 マンホールトイレは、断水などでトイレが使えない場合にマンホール下の下水道管に連結して便器を設置し、周囲をテントで囲んで使用する。手押しポンプで地下貯水槽の水を投入することで、トイレ環境を良好に保つことができる。1基あたり15~20分で設置できるという。

 市は避難所となる小中学校に組み立て式の簡易トイレを備蓄しているが、排せつ後の便袋が出るなどゴミの保管場所が必要となる。臭いなど衛生面で懸念が出れば、トイレの使用を避けるために飲食を控えるなどした被災者が、脱水症状やエコノミークラス症候群を引き起こすことにもつながりかねない。

 1月の能登半島地震は断水や道路の寸断で深刻なトイレ不足が生じた。NPO法人「日本トイレ研究所」(東京都)によると、調査した避難所の4割が仮設トイレの設置に、災害発生後8日以上かかるなど迅速なトイレ支援の課題が浮き彫りになっている。

 市は大阪北部地震の翌年からマンホールトイレの配備を始め、避難所となる各小中学校に女性用3基、男性用2基、多目的用1基の計6基を計画。23年度末までに、目標の半数を超える市内33小学校に198基の配備が完了した。

 危機管理室の担当者は「防災訓練などでマンホールトイレの設営を行っており、災害時に速やかに設置できるよう取り組んでいく」と話している。【面川美栄】