自民、今国会での改憲原案見送りへ…首相総裁任期中はほぼ不可能に

AI要約

自民党が憲法改正原案の今国会提出を見送る見通しとなった。原案提出は政治資金規正法改正案審議に影響する懸念から難しくなり、9月までの改憲は難しくなった。

自民党は災害時の国会議員任期延長を可能にする条項を提示し、改憲に協力を呼びかけたが、野党は議論の必要性を主張し協力を拒否。

今国会での改憲実現の可能性が低くなり、審議会は閉幕する見込み。立民は規正法改正案の審議を止めるとけん制を掛けている。

 自民党が、憲法改正に向けた改正原案の今国会提出を見送る見通しとなった。立憲民主党などが反対する中、強引に条文案作成を進めれば政治資金規正法改正案の審議に影響するとの懸念が強まったためだ。岸田首相が掲げてきた9月までの自民総裁任期内の改憲はほぼ不可能となった。

 13日の衆院憲法審査会で、自民の中谷元・与党筆頭幹事は、大規模災害時などに国会議員の任期延長を可能にする緊急事態条項の「骨格」となる論点整理案を示し、「これをもとに条文化を進めたい」と改めて各党に協力を呼びかけた。

 論点整理は、大規模災害などで広い地域で70日を超えて選挙の実施が困難な場合、6か月を上限に「選挙困難事態」を認定し、国会議員任期を延長できるとする内容で、中谷氏は国会閉会後に閉会中審査を開くことも求めた。

 これに対し、立民の逢坂誠二・野党筆頭幹事は審査会後、記者団に「丁寧に議論する必要がある。条文化作業をすべき状況にない」と、閉会中審査に応じない姿勢を示した。

 衆院憲法審の定例日は毎週木曜で、23日までの会期内では20日が定例日にあたる。ただ、規正法改正案の成立が見込まれる19日以降は、立民による内閣不信任決議案の提出などで与野党の攻防激化が予想され、審査会が開けない可能性が高い。首相は、野党に政権批判の機会を与える会期延長には否定的で、今国会の審査会は13日が最終回となる公算が大きい。

 9月までの改憲実現には、今国会での改正原案の提出が必須とされてきた。しかし、立民は、改憲論議とは無関係な「政治とカネ」の問題などを持ち出して条文案の作成に反発。国会最終盤でも「条文案を作成すれば規正法改正案の審議を止める」とけん制した。

 自民内では、公明党、日本維新の会、国民民主党など改憲に前向きな勢力だけで条文案を作成することや、国会議員(衆院は100人以上、参院は50人以上)が審査会を通さずに改正原案を提出することを模索する動きもあった。ただ、規正法改正を最優先課題に挙げる首相が最終的に強硬論を退けたとみられる。