【山岡家、鳥貴族、サイゼリヤ】円安、コスト増を跳ね返して高成長を遂げた注目の外食3銘柄 円高局面でのさらなる業績向上に期待

AI要約

日本の株式市場が軟調な中、外食産業が堅調な展開を見せている。円高ドル安局面への期待が背景にあり、業績の好調な企業が存在する。

山岡家は好調な業績を連続して達成し、外食需要の増加や営業戦略により成長。中期経営計画の上方修正も期待される。

逆風要因にもかかわらず、豚骨ラーメンチェーンの業績は過去最高を更新しており、今後の成長が期待される。

【山岡家、鳥貴族、サイゼリヤ】円安、コスト増を跳ね返して高成長を遂げた注目の外食3銘柄 円高局面でのさらなる業績向上に期待

 日本の株式市場が自動車、半導体といった外需銘柄を中心に軟調が続く中、堅調なセクターもある。その一つとして外食産業に勢いが出てきている。この背景には何があるのか。また、今後に期待が持てる銘柄は。最新の決算をもとに、個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が分析する。

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 日本の株式マーケットは自動車や半導体といった外需銘柄を中心に軟調な展開が続いている。一方でそれに代わり、堅調なセクターも出てきている。外食産業では株価が好調な銘柄がいくつかある。この要因としては、円安ドル高傾向が落ち着き、円高ドル安局面への期待が生まれていることが考えられる。

 為替が円高ドル安に動くことは、これまで好調であった自動車、半導体といった外需銘柄にとっては売上、利益、ともに業績懸念が出てくる一方で、食料品、資源、外食関連の銘柄にとっては仕入れ価格が安くなるメリットがある。ここ数年の円安一方通行という逆風環境においても業績成長を成し遂げてきた企業であれば、ここからの円高局面は業績を大幅に上昇させていくという期待が生まれる。前回記事では好調な外食企業の一例としてブロンコビリーをピックアップしたが、同社の株価はこの1か月、期待通り右肩上がりで上昇をしている。

 今回は引き続き外食銘柄に特化して3つの銘柄紹介をしていきたい。いわば「食欲の秋」相場に突入したといえるだろう。

 豚骨ラーメンチェーンとして北海道と北関東で幹線沿いに「山岡家」という店舗展開で有名な同社は、9月13日に2025年1月期第2四半期決算を発表し、前年比で売上+34.6%、営業利益3.2倍、経常利益3.2倍、純利益3.5倍、という大幅成長を実現した。この業績成長に伴い、通期業績についても大幅な上方修正を行った。

 業績好調の理由としては、「人流の活発化やインバウンド需要の増加により、外食需要は増加傾向が続き、直営による出店、店内調理、年中無休かつ24 時間営業を基本とした営業を続け、業績拡大」したこと、「専用アプリやSNSを活用した情報発信及び販売促進、期間限定商品の継続的販売などの営業活動で新規顧客やリピーターの獲得し、来店客数が対前年同期比 120%台後半で推移し、既存店売上高は 28ヶ月連続で対前年を上回り、売上高は当初の予想を大きく上回った」ことが挙げられている。

 さらに、「来店客数増加に加えて、値上げ実施により、1店舗当たりの平均月商が上昇し、原材料費や人件費を始めとした店舗運営コストを吸収し、各利益も前年を大きく上回る水準を維持」と発表している。

 上期業績としては、売上高、各利益ともに過去最高となった。また円安環境におけるコスト増については気になるところだが、これについては、「原材料費やエネルギーコストの高止まりが続いており、物流コストの上昇や労働力確保に伴う人件費及び求人費用の増加も続いている現状を考慮し、販管費は増加見込み」と説明している。円安やエネルギーコストの高止まり、人手不足解消のためのコスト増という逆風を受けながらも、これだけ大幅な業績成長を実現していることになる。

 なお、この業績成長のペースは6月に発表した中期経営計画の最終年度の経常利益を上回る見込みであり、現在更新作業を行っているとのことで、中期経営計画の上方修正が行われることになれば、再度サプライズでの株価上昇を期待できるだろう。