無糖炭酸飲料、ペットボトル症候群が需要後押し!? 健康素材配合で差別化も

AI要約

今年の夏は過去最高の平均気温で、猛暑が続き飲料市場に影響を与えた。特に炭酸飲料の需要が増加し、無糖炭酸飲料が注目を集めている。

ペットボトル症候群や高血糖に注意が喚起され、無糖飲料の需要が高まっている。ノンカロリーの炭酸水が健康志向の人々に支持されており、女性層にも人気がある。

炭酸飲料市場は拡大し、機能性研究も進んでいる。炭酸水摂取の効果や炭酸飲料の市場規模が増加している。

 今夏(6~8月)の平均気温は平年より1.76度高く、昨年夏と並び過去最高だったことが気象庁の発表でわかった。帝国データバンクの「東京都の猛暑が家計支出に与える影響調査」によると、飲料では炭酸飲料が約14億円増と大幅に増加した。ブランドオーナーからは、ペットボトル症候群が新たな需要を生み出しているとの声も。マーケットでは乳酸菌やファイバー、アミノ酸、ビタミンC、クエン酸を配合した無糖炭酸飲料が好調に推移している。

 今年の夏も猛暑が続き、水分補給などの熱中症対策は欠かせないものとなっている。一方、部活などの運動後に多量のスポーツドリンクを飲んだ学生が高血糖で昏倒し、救急車で搬送される事例も。スポーツドリンクやフルーツジュースなどの甘い飲み物を多量に摂取することで起こる“ペットボトル症候群”(清涼飲料水ケトーシス)を警鐘するテレビ報道も今夏は目立った。

 こうした中、ノンカロリーの無糖炭酸水の注目度が増している。楽天ランキング(水・ソフトドリンクジャンル)で3年連続1位を獲得したのは、「ZAO SODA」(ライフドリンクカンパニー)。同社によると、「健康志向やダイエット志向の高まりは飲料の選び方にも波及している」と指摘。「砂糖が多く含まれる飲料を過剰摂取することで身体に悪影響を与える“ペットボトル症候群”が話題になるなど、無糖飲料の需要が高まっている。無糖炭酸水は“水だと物足りず、爽快感を得たい”という思いを持つ人々にマッチしたほか、炭酸の喉ごしや胃に溜まる感覚が満足感につながり、間食防止にもつながっている」という。このほか、女性向けのパッケージデザインと多様なフレーバーも新規ユーザー獲得につながり、購入者の6割が女性層としている。

 コンビニチャネルでは、カロリーゼロ、糖類ゼロ、脂質ゼロを謳った炭酸飲料が好調に推移している。「セブンプレミアム ゼロサイダーシリーズ」(セブン&アイ・ホールディングス)は、「乳酸菌」「ファイバー」「ビタミン」配合品をラインアップ。同社によると、「23年の総販売金額合計は167億円だった。シリーズ化の13年比で約30倍の規模に拡大した」という。「各商品共に継続購入率が平均値より高く、値ごろのある価格設計+健康的価値の相乗効果で多くのお客様に習慣的に購入されている」という。

 2023年の無糖炭酸飲料は前年比10%増の1264億円(全国清涼飲料連合会調べ)。生産量も10年前の約15万kLから2倍以上の37万5400kLに到達した。直近1年間に炭酸水を飲んだ人は6割弱とする調査結果も9月に示されている。

 健康課題解決をテーマとする機能性研究も進んでいる。暑熱下の安静時・運動後の炭酸水摂取は、低血圧や失神のほか、爽快感、眠気、モチベーションなどの改善を認めたとする研究成果が6月に発表された。筑波大学とアサヒ飲料の共同研究によるもの。脳血流に好影響を及ぼしたことで、爽快感や眠気の改善、モチベーション向上につながったと分析している。追い風が吹く無糖炭酸飲料市場と健康食品のコラボに今後注目したい。