【MotoE第8戦サンマリノ大会】初日クラッシュのM.カサデイ選手がスペアマシンを使用。その影響は?

AI要約

2024年MotoEシーズンは、エクトル・ガルソ選手がチャンピオンを獲得する結果となった。

マッテア・カサデイ選手は転倒によりマシンを乗り換えることとなったが、スペアマシンが用意されており、最終的にランキング2位でシーズンを終えた。

2025年の「V21L」ではバッテリーの改善が予定されており、充電時間が短縮され、車両重量が軽くなる予定である。

【MotoE第8戦サンマリノ大会】初日クラッシュのM.カサデイ選手がスペアマシンを使用。その影響は?

 電動バイクによって争われる『FIM Enel MotoE World Championship』(以下、MotoE)の2024年シーズンは、最終戦サンマリノ大会でエクトル・ガルソ選手がチャンピオンを獲得して幕を閉じました。

 サンマリノ大会までガルソ選手とチャンピオンを争ったのは、2023年チャンピオンであるマッテア・カサデイ選手です。カサデイ選手は金曜日のプラクティス2で転倒を喫し、この影響で、マシンを乗り換えています。MotoEでは、このような状況に備え、常に5台のスペアマシンがEパドック(MotoEのチームのピットだけが集まるパドック)に保管されているのです。

 カサデイ選手自身には大きな怪我はなく、予選Q2でポールポジションを獲得し、レース1で優勝、レース2で2位を獲得し、ランキング2位でシーズンを終えています。

 レース後、カサデイ選手に話を聞きました。

「バイクがめちゃくちゃになったわけではなかったけど、ダメージが大きかったから、2レースでスペアバイクを使ったんだ。ドゥカティは素晴らしい仕事をしているよ。そのマシンは僕のバイクに非常に近いものだった。それで僕は良い週末を過ごすことができたんだ」

「では、マシンの変更はあなたのレースに影響を与えなかったのですね?」と確認すると、「うん、影響はなかったよ」ということでした。

 今季のMotoEは、供給されるワンメイクマシンがドゥカティの電動レーサー「V21L」に変更されて2年目のシーズンでした。2年目の「V21L」について大きなアップデートは行なわれていませんが、もちろん小さなアップデートはあります。そのうちのひとつが、エンジンブレーキのマッピングの選択肢です。電動バイクなので、実際には「エンジン」ブレーキではなく、スロットルを戻したときに発生する回生ブレーキのことを指しています。

 エンジンブレーキのマッピングは、2023年は、3つの選択肢から1つを選ぶことしかできませんでした。しかし今季は選択肢が増え、9つからコンディションに合わせて3つを選ぶことができ、レース中にマッピングを変えることができるようになったのです。これは、ライダーのレース戦略にどのような影響を及ぼしたのでしょうか?

 これもカサデイ選手に聞きました。

「僕は昨年からエンジンブレーキを変更した。ドゥカティが持ち込んだ新しいものを使ったんだ。良くなったよ」

 ただ、カサデイ選手によると、基本的にレース中にマッピングを変更することは無いそうです。MotoEは周回数が少なく、ガソリン残量が少なくなって車両重量が変わることもありません。路面コンディションが大きく変わることがなければ、変更はしないようです。

「ウエットコンディションなどのレースでは(マッピングを)変更するけど、(基本的には)しないね」

 ガルソ選手にもチャンピオン会見で同じ質問をしたところ、「シーズン中、(今年の最初から)同じバイクをキープする」と語っていたことから、ガルソ選手も同様の状況だったようです。

 なお、2025年の「V21L」には、大きな改善が予定されています。特に変わるのはバッテリーで、充電時間がさらに短くなり(現在は45分で80パーセントの充電が可能)、車両重量が5~6kgほど軽くなるということです。