このスポーツカー、乗っているだけで大冒険! モータージャーナリスト、佐野弘宗が選んだ「いま身銭を切ってでも欲しいクルマ20台」のランキング 3位は世界最軽量のあのクルマ
2024年のモータージャーナリストによる「マイHOT20」が発表された。欧州車が減少し、日本車とアメリカ車が増加している中、BEVと現実の一致が難しい現状が明らかになった。
モータージャーナリストが選んだ「マイHOT20」リストの一部を紹介する。トップはシボレーマイドのコルベットがランクインし、アルピーヌA110やケータハム・セブンなどのスポーツカーが上位に位置している。
各車種ごとに特徴や乗り味が解説され、新時代のトップランナーとして注目のクルマたちが勢揃いしている。
雑誌『エンジン』の大人気企画、「ENGINE HOT 100」。オリンピックイヤーの今年は「新時代のトップランナー」というテーマもプラスして、34人のモータージャーナリストのHOT100委員が「今身銭を切ってでも欲しいクルマ」を選んだ。まずはその委員たちが選んだ2024年の「マイHOT20」を公表する。モータージャーナリストの佐野弘宗さんが選んだいま欲しい20台はこれだ!
◆BEVは好き、でも理想と現実の一致はむずかしい
私がいま新車でほしいクルマ上位の顔ぶれは、昨年とほぼ変わらず、全体には欧州車が減って、日本車とアメリカ車が増えました。残った欧州車も多くが終了間近。というのも、日本では電気自動車(BEV)を快適運用できる環境が整わないまま、欧州車がどんどんBEVにシフトしているから。個人的にBEVは大好きですが、理想と現実の一致はむずかしい。
◆20位 ジープ・グランドチェロキー(PHEV含む)
プラットフォームはアルファ・ロメオ由来。ロングボディ+エアサスのLサミットリザーブの乗り心地はとろけるがごとく、それでいてステアリングも正確。
◆19位 三菱トライトン
トラックとは思えない快適な乗り心地と驚異の走破性。販売台数は三菱全体の2割を占めており、同社のオフロード猛者たちが寄ってたかって開発している。
◆18位 日産サクラ
少なくとも軽自動車のような使い方なら、エンジン車よりBEVがずっと便利で快適と思わせてくれる。乗り心地も軽としては最上級の1台。
◆17位 トヨタ・クラウン・セダン(FCEV含む)
このFCEVモデルが、レクサスを含めた現行のトヨタ製FRサルーン/クーペで、奇跡的かつ圧倒的に乗り心地がいいのは、開発陣も認めるところだ。
◆16位 ジープ・ラングラー(PHEV含む)
フロントにいまだリジッドアクスルを使うのは、ほかにはジムニーとランクル70くらいか。このタフでワイルドなところが、日本で人気なのはうなずける。
◆15位 キャデラック・エスカレード
現代アメリカで最もラグジュアリーなショーファードリブンカー。デカくて重くて快適なクルマをつくらせると、日本も欧州もアメリカに敵わない。
◆14位 マセラティ・グラントゥーリズモ(カブリオ除く全て)
この時代に登場してくれたことにまず感謝。とにかく低くてカッコよく、エンジンからシャシーまで正面から優秀なところはマセラティらしくない(失礼)。
◆13位 日産GT-R(NISMO含む)
ついに2025年モデルをもって生産終了(号泣)。随所に古さは否めないものの、それでも世界のスーパースポーツに正面から対峙する様はサムライ。
◆12位 メルセデスAMG A35/A45S 4マチック(+)(セダン含む)
2.0リッターで421ps!という世界一の4気筒。その高回転での炸裂を味わうだけでもこのクルマに乗る価値あり。左右トルクベクタリングで曲がりも最高。
◆11位 ルノー・トゥインゴ
ルノーではメガーヌRSとともに、生産終了+在庫のみ物件。私も1台持っていますが、街中でこんなに楽しいクルマは他にない。見つけたら即買い。
◆10位 スズキ・ジムニー(シエラ含む)
小型軽量だが、もはや世界一硬派なメカニズムをもち、にタイヤ径や地上高は大型車と同等。日本のような林道が多い場所での走破性は掛け値なしに世界一。
◆9位 ルノー・カングー
先代のキュートさが薄れたのは、欧州でのカングーの立ち位置を示す。商用バンが本来の姿でありながら、上質なバカンスエクスプレスというのが本来の顔。
◆8位 メルセデス・ベンツEQS(SUV含む)
このデザインと車両感覚、そして四輪駆動と四輪操舵が織りなすゾクゾクするほど新しい走行感覚はBEVならでは。面倒くさい理屈ぬきで素直にスゴイ。
◆7位 トヨタ・ランドクルーザー250
日本が世界に誇るランクルの最新作。自慢の悪路性能はフラッグシップの300とほぼ同等なのに、4気筒エンジン+電動パワステで乗り味は明らかに軽快。
◆6位 レクサスLM
ドイツにも輸出される。LSがSクラスに勝つのは至難のわざだが、LMなら欧州の鼻を明かせるかも……と思わせる、真のジャパンオリジナル高級車。
◆5位 ルノー・メガーヌR.S.
技術内容は宿敵タイプRよりはアナログで、派手なエアロも非装備だが、スピードは大きく引けを取らず。最終限定車「ウルティム」の在庫も着実に減少中。
◆4位 ホンダ・シビック(タイプR含む)
ニュルのFF最速タイムホルダーだが、熟成きわまる空力とシャシーで乗り心地はゴリゴリの正反対のしなやかさ。見た目とは対照的(?)の大人な乗り味。
◆3位 ケータハム・セブン(170、340含む)
世界でもっとも簡素かつ軽量な量産スポーツカー。とにかく乗っているだけで、大冒険、大ツーリング気分が常に味わえる。もともと壊れるところのないクルマだが、日本のVTホールディング傘下になって、クオリティも明らかに向上。
◆2位 アルピーヌA110(全て)
価格高騰でいつしか基本4ケタ万円のクルマになってしまったが、アマチュアドライバーでもこれほど気安く振り回せるミドシップスポーツカーは唯一無二。小型軽量で、ポルシェ911はもちろん、ケイマンより日常的に使いやすい。
◆1位 シボレー・コルベット(コンバーチブル、Z06含む)
おそらく世界で最もフレンドリーで乗りやすいミドシップ・スーパーカー。基本となるV8OHVも失禁しそうなくらい気持ちいいが、レーシング直系DOHCのZ06、さらにはハイブリッドのE-Rayも追加。いよいよ円熟味を増してる。
(ENGINE2024年9・10月号)