無断欠勤を続ける部下に電話をしたら「まさかの反撃」…モンスター部下の「逆ハラスメント」に冷静に対処する方法

AI要約

部下・後輩からの「逆ハラスメント」に悩まされる人が増加しており、企業法務弁護士の國安耕太氏が、反抗的な部下への対処法を指南する。

無断欠勤をするGさんに対し、上司のIさんが連絡を試みるも、パワハラとして報告される。しかし、Iさんの対応は健康配慮義務に基づくものである。

感情的な理由での無断欠勤は労務提供義務違反として注意・警告を与えることができる。

無断欠勤を続ける部下に電話をしたら「まさかの反撃」…モンスター部下の「逆ハラスメント」に冷静に対処する方法

近年、部下・後輩からの「逆ハラスメント」に悩まされる人が急増し、無視できない労働問題になっているという。企業法務弁護士で、著書に『上司いじめ 企業法務弁護士が教える上司のためのハラスメント対応法』がある國安耕太氏が、何かと反抗してくる部下や、なんでもパワハラだと言ってくる部下への対処法を教える。

前編記事から読む:「仕事遅いですよね」「それで管理職がつとまるなんて」…反抗的なモンスター部下の「上司いじめ」に負けない方法

仕事上のミスで損失が発生したため、担当社員のGさんに始末書を書くよう指示したところ、翌日から無断欠勤がはじまりました。

最初のうちは同僚を通じて連絡を取っていましたが、10日経っても出社せず業務にも支障が出はじめたため、上司のIさんが何度か電話とメールで連絡をとろうと試みます。

するとその夜、Gさんからメールが届き、

「精神的に参っているのに、何度も何度も連絡してこられてますます気持ちが辛くなった。これはパワハラだと思います。着信履歴のスクショを添えて部長に報告しました。まだしつこく連絡するなら、パワハラを訴えた上で会社辞めます」

と書かれていました。

Iさんの対応は間違っていたのでしょうか?

無断欠勤は会社との契約違反ではありますが、すぐに処分を下すことはできません。

なぜならば事故に巻き込まれていたり、病気で倒れていることも考えられるからです。

そのため、会社は欠勤している従業員の所在や健康状態を、電話やメール、通信アプリ、自宅の訪問などあらゆる手を使って把握する義務があります。

同時に、今後も就業を続けられるかどうかを把握するためにも、無断欠勤の理由を確認しなければなりません。

この一連の確認は使用者の健康配慮義務に従ったものなので、パワハラにはあたらず、Iさんの対応は間違っていません。ただし、1日に何十回も連絡をしたり、電話口で恫喝したり脅すなどの心理的負担を相手に与えないことが前提です。

感情的な理由だけで無断欠勤をした場合は、労務提供義務の違反により、注意・警告を発出して出勤をうながすことができます。