大学研究現場の試作サービスで信頼 Laboko 小此木智美社長 埼玉活躍企業

AI要約

Laboko(さいたま市大宮区)は、大学と企業の技術を結び付け、研究現場に革新的な装置開発や製造技術を提供する試作サービスを提供している。

現在、群馬大学との共同研究で、プラスチック製微小流路の作製技術開発に取り組み、多品種小ロットの試作サービスを提供している。

Labokoは、将来的には生体模倣システム(MPS)の構築に取り組み、細胞培養装置の開発を通じて研究分野の革新を目指している。

大学研究現場の試作サービスで信頼 Laboko 小此木智美社長 埼玉活躍企業

大学の研究現場などに向けた実験システムの試作サービス提供で多くの信頼を集めるLaboko(さいたま市大宮区)。小此木智美社長(43)は、県内企業と大学が持つ技術を結び、付加価値の高い装置開発や製造技術の革新を後押ししたいと意気込む。

--起業のきっかけは

「大学と企業をつなげる仕事がしたいと思ったのがきっかけです。大学が抱えている課題を社会全体の課題と捉え、企業が持っている技術、大学が持っているシーズ技術を掛け合わせることで新しいものづくりができるのではないかと考えました。研究者たちの挑戦が未来につながるように、研究現場の声に耳を傾けながら、試行錯誤を可能にする試作サービスを目指しています」

--現在注力している事業内容や課題は

「現在、私たちは群馬大との共同研究で、実験動物を用いない創薬研究ツールとなるプラスチック製微小流路の作製技術開発に取り組んでいます。そして、研究現場で課題となっている微小流路の材質やコスト、時間がかかる問題などを解決していくべく方法を提案し、多品種小ロットでの試作サービスを構築していきたいと考えています。ただ、研究現場で使用する際にはさまざまな評価実験が必要です。いくつもあるハードルをクリアにしていき、実績と信頼を得ていきたいと思います」

--今に至るご苦労は

「事務所なし、装置なし、開発資金なし、土地勘なしと、全てゼロベースからのスタートでした。会社設立後まもなく、『埼玉県次世代ものづくり技術活用製品開発費補助金事業』に採択され、その中で群馬大のシーズ技術と小型射出成型機を掛け合わせた成形技術を確立させました。この方法は従来方法と比べて画期的な技術となり、事業を進めるにあたり大きな一歩となりました。1社ではできないことも、多くの人の力をお借りしながら一つ一つ積み上げることで、やりがいや喜び、新たなつながりも生まれてきました」

--新たに取り組みたい事業や目標は

「現在開発中のプラスチック製の微小流路はさまざまな活用先が期待されています。水質検査やウイルス検出、創薬などが挙げられますが、私たちが目標にしているのは、人体の臓器を微小な環境内で再現する『生体模倣システム(MPS)』の構築です。それに向けて私たちの強みでもある、細胞工学や流体力学の知見を生かした細胞培養装置の開発にも取り組んでいます。欧米では10年後には動物実験を廃止しようとする動きが高まり、国内でも微小流路を用いた研究や新たな評価ツールの開発が進んでいます。その流れを受け、私たちもその一端を担えるように実績を積んでいきたいと考えています」