「iPhone 16いらなくね?」「全然パッとしないじゃん…」ケチる人が陥るアップルの巧妙なワナ

AI要約

アップル社が新型iPhoneとAI機能「アップル・インテリジェンス」を発表。このAI機能は旧型iPhoneでも利用可能で、旧型機種からの買い替えを促している。発表内容に少しガッカリ感があったが、アップルの戦略的考え方には注目が必要。

新しいiPhone 16の機能やアップル・インテリジェンスについて概説。基本的な機能は他社スマホと同等であり、革新的な要素は限られている。しかし、便利な機能も多数搭載されており、日本語版のリリースは2025年を予定。

アップルがAI分野で他社に追いつくための戦略と、株価が今後上昇する可能性についての分析。戦力不足からの脱却を図るアップルの動向に期待が寄せられている。

「iPhone 16いらなくね?」「全然パッとしないじゃん…」ケチる人が陥るアップルの巧妙なワナ

 9月9日、アップル社の新型iPhoneと共に、AI機能「アップル・インテリジェンス」が発表されました。このAI機能、既存の旧型iPhoneでも使用できるというのです。「それならiPhone 16は買わなくていいや」と思った方は、すでにアップルの罠にはまっています。これから「iPhoneでイライラすること」が増えるでしょう。なぜなら、今回の発表の真の狙いは「旧型機種からの買い替え」だからです。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

● アップルはこの後、業績が上がるだろう… 新型iPhone発表に隠れた「考え抜かれた戦略」とは?

 9月9日にアメリカのシリコンバレーで、アップル社の新型iPhoneとともに、AIのアップル・インテリジェンスが発表されました。その中身は、参加者の言葉を借りると「それほど凄いと思えるものではなかった」といいます。

 一方、株式市場において他のIT株の上昇局面だった割には、アップルの株価はぱっとしない展開となりました。ただ市場関係者によれば、「アップル株はもし下がったとしたら、そこで買いだ」と予測する人も少なくありません。理由は「この後、業績があがるから」です。

 実は今回の発表、インフルエンサーから見れば少しがっかりする内容だったかもしれませんが、競争戦略の視点で見るとなかなかに考え抜かれた戦略的な発表だったのです。

 何が起きているのかを説明したいと思います。

● iPhoneで使えるAI機能は 他社と同じレベルになってきた

 そもそも戦略の神髄とは、戦力が劣る状況でも勝ちにいくことです。

 AIで出遅れ、いまだに戦力としてのAIが不十分なアップルの状況は、まさにそのような戦略が必要とされる状況です。では弱い戦力でアップルはどう勝ちに行こうとしているのでしょうか。

 まずは最新の製品内容を確認しましょう。

 新しいiPhone 16とそれに搭載されるAIのアップル・インテリジェンスについては、「従来の延長線でサプライズはない」というのが参加者の大多数の反応でした。

 iPhone 16の機能で地味に便利なのはカメラコントロールボタンがついたことぐらいです。スマホをカメラとして使う局面が多いので、新しいiPhoneではひとつのボタンでカメラを起動できるようにしたのです。

 一方で目玉となるアップル・インテリジェンスでできることは、ほぼほぼライバルのスマホでもできることと同じです。

 たとえば長い文章を要約してくれるAI機能。これは長文の記事を読むには便利ですが、すでに存在する機能です。

 他にも便利だと思えるのは、店を撮影するとその店の評判やメニューなどが検索できる機能や、膨大な写真のアルバムから「赤いポロシャツを着てビーチで撮影した写真」といった具合に文字で写真を検索できる機能です。また、メールアプリでは早く返答する必要があるメールを上位表示してくれるAI機能も搭載されます。

 写真の編集については、グーグルPixelの消しゴムマジックと同じ機能も発表されました。一方でサムスンのスマホが搭載する翻訳機能と類似の機能については発表はありませんでした。

 日本人にとって少し残念なことは、アップル・インテリジェンスは英語版からリリースされて、日本語版の利用は2025年からになるといいます。まとめると「iPhoneで使えるAI機能は他社と同じレベルになってきた」というのがこの日の発表だったのです。