激安&マンガ盛り 体育会系「L定食」とは? コメ不足で危機も…地元に愛され50年
とんかつ山路という地元で愛される名物食堂がコメ不足の影響で一時休業に追い込まれたが、常連客の思いで危機を救われたエピソード。
店の人気の秘密は安さとボリュームであり、特に体育会の学生たちに愛されている。
米不足の影響で店主は苦しい決断を迫られたが、昔の常連客たちの協力によって一時的に危機をしのいでいる。
コメ不足の影響で、地元に愛される名物食堂も一時休業に追い込まれました。その危機を救ったのは店を愛する常連客たちの思いでした。
東京・杉並区でおよそ50年にわたり、地元の人たちの胃袋を満たしてきた「とんかつ山路」。
厨房(ちゅうぼう)ではカツが次々と揚がる音が響きわたります。店を一人で切り盛りするのは、店主の山路順さん(74)。
山路店主
「学生は何を食べても、だいたい500円。一般のお客さんが来るとありがたいですよ。普通の商売だから。それでも安いけどね」
地元で愛される理由は、安さとボリュームです。ロースカツやヒレカツなどの定食メニューは500円台から600円台。
この日のサービスランチ、チキンカツカレーはごはんが山盛りでなんと580円。たっぷりのルーにカツが埋もれて見えません。
20年来の常連客
「安いと思います、このご時世で」
「1回来たらおいしかったし、ボリュームもあって」
一方、行列に並ぶ学生のお目当ては…。
明治大学陸上部の学生
「(Q.何を頼む?)L定食です。500円で量を食べられるので」
「裏メニューみたいな感じで店主がやっている」
その裏メニューがこちら。L定食とは、ラージ定食の略。チキンカツが2枚に、カレーのかかったトンカツが1枚。さらに、ゆで鶏も。ご飯は大盛を通り越したマンガ盛り!これでたったの500円。メニューには載っていない体育会の学生限定のメニューです。
山路店主
「来るのは日大とか明大学、体育会の子が多い。その子たちに頼まれると、言うことをきいているといつも間にかこんなのになる。『お金ないから、おじさんなんとかして下さい』と言われて始めた」
スポーツを頑張る学生に、お腹一杯食べさせてあげたい。そんな思いから始めたという特別メニュー。しかし、昨今の米不足の影響を受け、苦渋の決断を迫らました。
山路店主
「(Q.いつもL定食のごはんは?)これの倍ですね。この倍を3杯くらいおかわりする人もいる。(学生が)『おかわり自由』とか勝手に言ってるの。そんなこと言った覚えはない」
この日はライスをマンガ盛りから並盛に変更。とは言いつつも、ついつい大盛によそってしまうのが人情です。
山路店主
「L定です」
明治大学陸上部の学生
「大丈夫、これ並盛です。でも大盛りです(笑)」
こちらの日本大学バスケットボール部の学生も食べるのはもちろんL定食。
日本大学バスケットボール部の学生
「世界一です」
「(Q.いつもL定食頼んでいる?)そうです」
山路店主
「L定食は、レジェンド定食といって、日本のトップアスリートのために作っている。誰がレジェンドだって?(笑)」
今はこう笑う店主ですが、実は先週に米がなくなり1週間臨時休業を余儀なくされました。途方に暮れていた山路さんを助けてくれたのは、昔、店に通ってくれていた元学生だったといいます。
山路店主
「(スーパーに)買いに行って4カ所くらい回ったら、全くなくって。ダメだと思って。そしたら、福島のコメが届いて。陸上関係の子で知っている子で」
福島の実家の農家から送ってもらった60キロの米で急場をしのぎ、新米が出回るまで耐えるつもりです。