8月の「人手不足」関連倒産16件 1-8月累計194件、初の年間200件超え確実

AI要約

2024年8月における「人手不足」関連倒産は16件で前年同月と同数だった。1-8月累計では194件の倒産が記録され、前年同期比92.0%増加している。中小企業の人材確保が事業継続に直結する状況で、要因別の倒産件数は「求人難」が81件、「人件費高騰」が65件、「従業員退職」が48件で、すべてが年間最多を更新した。

サービス業や建設業、運輸業など労働集約型産業が影響を受け、資本金1千万円未満の企業が6割を占める。破産件数は9割を超え、業績悪化や資金繰りの困難が背景にある。コストアップや収益悪化が続く中、人材採用や賃上げが避けられない状況が続いている。

「人手不足」の影響は広がり、関連倒産が増加傾向にある。倒産件数の増加や経済状況の厳しさが続けば、今後も倒産リスクは高まる可能性がある。

8月の「人手不足」関連倒産16件 1-8月累計194件、初の年間200件超え確実

 人手不足が深刻さを増している。2024年8月の「人手不足」関連倒産は、前年同月と同件数の16件だった。

 1-8月累計は194件(前年同期比92.0%増)と、前年同期の1.9倍に急増している。すでに年間で過去最多だった2023年の158件を抜いて最多記録を更新中で、2024年は初の200件超えが確実になった。

 1-8月の内訳は、「求人難」が81件(前年同期比92.8%増)、「人件費高騰」が65件(同91.1%増)、「従業員退職」が48件(同92.0%増)で、すべての要因が年間最多を更新した。大手と中小企業の賃上げ格差が広がるなか、中小企業の人材確保は事業継続に直結しつつある。

 産業別は、7産業で前年同期を上回った。最多がサービス業他の57件(前年同期比90.0%増)。次いで、建設業54件(同184.2%増)、運輸業43件(同65.3%増)と、コロナ禍前から人手不足に陥っていた労働集約型産業が目立つ。

 資本金別は、1千万円未満が119件(同105.1%増)で6割(構成比61.3%)を占めた。

 形態別は、破産が177件(前年同期比82.4%増)と9割(構成比91.2%)に達した。人手不足で受注機会を喪失し、業績が改善しないまま資金繰りに行き詰まるケースも出ている。

 企業業績は二極化が加速し、2023年度は4社に1社が赤字だった。輸入資材や原材料価格の上昇、物価高に加え、今後は金融機関からの借入金利の上昇も見込まれている。種々のコストアップが押し寄せるなか、人材採用や従業員の退職回避のための賃上げは避けられない状況にある。

 収益悪化の要因が増えるなか、「人手不足」の影響は広がっており、しばらく関連倒産は増勢をたどる可能性が高い。

※本調査は、2024年1-8月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析した。(注・後継者難は対象から除く)