「長い脚」に合わせて魔改造! ワケありのランボルギーニ「ガヤルド」は“バスケット界のレジェンドの愛車”だったロングホイールベース仕様

AI要約

シャクール・オニール(通称“シャック”)は、NBA史上最も支配的なプレイヤーと称される巨漢バスケットボール選手であり、身長216cm、体重147kgという規格外の体格を持っていた。

シャックは手に入れられないものはなく、時給は一般人の年収以上だったが、自分の体格が原因でスーパーカーに乗れないジレンマを抱えていた。

そこで、彼はロングホイールベース化された特注のランボルギーニ「ガヤルド」を手に入れ、高速道路でスピンさせるハプニングもあったが、結局同僚に譲ることになった。

「長い脚」に合わせて魔改造! ワケありのランボルギーニ「ガヤルド」は“バスケット界のレジェンドの愛車”だったロングホイールベース仕様

“シャック(Shaq)”の愛称で親しまれ、全盛期には“NBA史上最も支配的なプレイヤー”と称されたシャキール・オニール(以下、シャック)。歴代最高のセンターのひとりだったと多くの人が絶賛する彼は、巨漢が集まるバスケットボール選手の中でも身長216cm、体重147kg(NBA史上最重)と規格外の体格でした。

 恵まれた体格と驚異的な身体能力は、シャックに富と名声をもたらしました。当時のシャックが手に入れられないものは、ほとんどなかったはずです。

 ただしスーパーカーは、金銭的には余裕で購入できたものの、車内に身体を文字どおり“入れる”ことができなかったのです。こればかりは持って生まれたものですから、同情の念がわいてきます。

 でも、シャックの当時の時給は一般人の年収以上でした。「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」は“実力者”に共通する考え方のようで、シャックもご多聞にもれず実力行使しました。

 シャックの自伝『Shaq Uncut: My Story』によると、ランボルギーニ「ガヤルド」にひと目ぼれしたものの、脚が長すぎて(うらやましい……)乗ろうにも乗れないことが判明。そこでひらめいたのが「ロングホイールベース化すれば乗れる!」ということ。こんな考えがひらめくところが凡人とはひと味違いますね。

●現代版のカロッツェリアが仕立てた本格仕様

 そこでシャックは、新車を1台、ロングホイールベース化に必要なパーツ流用のために中古車を1台購入。カリフォルニアにあるガッフォリオ・ファミリィ・メタルクラフターズ(現・メタルクラフターズ)の手によってロングホイールベース仕様に魔改造されました。

 ガッフォリオ・ファミリィ・メタルクラフターズはリムジン制作会社ではなく、自動車メーカーのコンセプトカーや技術コンサルティングを手がける現代版カロッツェリア。なんと、航空宇宙産業界でも一目置かれている金属加工の達人たちなんだそうです。

 ちなみに、2台の「ガヤルド」を用意してロングホイールベース化するのにかかった費用は60万ドル(約8594万円)超えだったそう。

 こうしていざ出来上がった「ガヤルド・ロングホイールベースモデル」、写真で見る限りですが、思いのほか奇抜ではありませんね。

「ガヤルド」の運動性能を損なわせないガッフォリア・ファミリィ・メタルクラフターズのこだわりだったのか、あくまでもシャックが“収まる”程度のロングホイールベース化にとどめたようです。

 十分なヘッドスペースが確保されているのは、シャックの座高が“そこまで”高くないのか、もしかしてルーフラインまで変更されていませんかね?

 そんなシャック、フロリダ州フォートローダーデールへのドライブ中、事故には至らなかったものの高速道路で「ガヤルド」をスピンさせてしまったそうです。

 以後、シャックは「ガヤルド」を運転することなく、NBAの同僚であるアマレ・スタウデマイアに譲ったそうです。価格は11万ドル(約1576万円)と製作費の5分の1以下ですが、それでも当時の普通の中古「ガヤルド」よりは高めです。

 今、この特注「ガヤルド」はどこにあるのでしょう? オークションに出品されたら白熱必須。そして、世界で一番長い「ガヤルド」がどのような走りをするのか気になります。“普通”の「ガヤルド」より安定感があるのか、それとも曲がるときに苦労するのか……。どこかに眠っているであろうこの1台は、自動車史とスポーツ史が交錯した、とってもユニークな存在です。