明治41年創業の佃煮メーカー・山政が特別清算

AI要約

(株)山政は、静岡地裁より特別清算開始命令を受けた佃煮製造業者であり、負債額は約4億6500万円である。

創業以来、地元焼津市でマグロやカツオの佃煮を主力製品として販売してきたが、新型コロナウイルスの影響で売上が激減し、経営が停止に至った。

再建に努めるものの、収益性の悪化や景気低迷による需要減少、外部支援の受け入れなどが困難を増し、最終的に清算の措置を取ることとなった。

(株)山政(TDB企業コード:420048399、資本金1200万円、静岡県焼津市東小川2-4-14、代表清算人田宮順之氏)は、8月26日に静岡地裁より特別清算開始命令を受けた。

 当社は、1908年(明治41年)10月創業、48年(昭和23年)3月に法人改組された佃煮製造業者。地元焼津市ならではのマグロやカツオの「角煮」などの佃煮を主力製品として、カツオ節やカツオのたたきのほか、近年ではアサリなどの貝類の佃煮も手がけていた。百貨店向けの中元・歳暮用等贈答品としての利用を中心に、百貨店のテナント、スーパーマーケット、量販店、生協、各種食品商社などにも卸していたほか、百貨店や駅ビルなどに直営店を構えて小売りも手がけていた。販売エリアは、北は青森県から南は鹿児島県まで取引先を有し、関係会社への冷凍マグロの取扱量が増えた2002年3月期の年売上高は約24億6100万円を計上していた。

 しかし、その後は関係会社への冷凍マグロ取り扱いから撤退していたほか、原料高などによる収益性の悪化、長引く景気の低迷などによる中元・歳暮用等の贈答品需要の落ち込みから、2009年7月には外部機関の支援を受けて再建に努めていた。そのような状況下、新型コロナウイルス感染拡大の影響により百貨店の休業や直売店の閉店などによって2023年3月期の年売上高は約3億700万円にまで落ち込んでいた。そのため、コロナ関連融資を活用しながら資金を繰り回してきたが、多額の累積債務負担が重く、2023年9月末には事業を停止していた。その後、社有不動産を売却するなどして債務を圧縮、今年2月29日の株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

 負債は2023年3月期末時点で約4億6500万円だが、社有不動産の売却などにより大きく変動している可能性がある。