BMW、28年から燃料電池車量産 トヨタと共同開発、需要開拓へ

AI要約

BMWは2028年から水素で走る燃料電池車の量産を開始することを発表した。

BMWとトヨタは燃料電池システムの共同開発を進め、次世代エコカーとしてFCVの需要を開拓する考えである。

FCVは短時間で水素を補充できる利点があり、EVとの差別化を図っているが、まだ需要は伸び悩んでいる。

 ドイツ自動車大手BMWは5日、水素で走る燃料電池車(FCV)の乗用車を2028年から量産すると発表した。

 主要装置の燃料電池システムは、提携するトヨタ自動車と共同で開発する。電気自動車(EV)ブームに陰りが見える中、FCVを次世代エコカーの新たな選択肢と位置付け、需要を開拓したい考えだ。

 両社は12年からFCV分野で提携。開発するシステムは今後トヨタのFCVにも搭載される予定で、基幹部品の共通化でコスト削減を進める。課題の水素ステーションの普及にも連携して取り組む。

 BMWのツィプセ最高経営責任者(CEO)は5日のオンライン発表会に録画出演し、「両社の協力を新しい次元に引き上げ、FCVの生産を目指す」と強調。トヨタの佐藤恒治社長は「水素社会の実現を目指し協力関係を深めていく」と述べた。

 充電に時間がかかるEVと違い、FCVはガソリン並みの短時間で水素を補充できる。トヨタは14年に世界で初めて「ミライ」を投入。他メーカーに先行するが、23年の世界販売台数約1030万台のうち、FCVは約4000台にとどまる。価格の高さもネックだ。

 一方、EVは充電1回当たりの走行距離の短さや充電施設の少なさなどで世界的に需要が鈍化。独フォルクスワーゲンは国内一部工場の閉鎖を検討、スウェーデンのボルボ・カーは30年までに全ての新車をEVとする目標を撤回するなど、戦略を見直す動きが出ている。