〔東京外為〕ドル、143円台後半=実需の買いで上昇(5日正午)

AI要約

5日の東京外国為替市場では、ドルの対円相場が1ドル=143円82~83銭と大幅ドル安・円高の水準になった。

前日の海外市場では、米国時間に米雇用動態調査(JOLTS)を受けてドル安・円高の展開が続き、143円70銭付近まで下落した。

市場では日銀の追加利上げを期待して好調な経済指標が発表されたが、日米の金利差縮小を踏まえ、ドル円は下落トレンドとみられている。

 5日の東京外国為替市場のドルの対円相場(出来高)は、実需の買いで1ドル=143円台後半に上昇した。正午現在は1ドル=143円82~83銭と前日(午後5時、144円99~145円00銭)比1円17銭の大幅ドル安・円高。

 前日の海外市場では、欧州時間は手掛かりとなる材料に乏しく、144円台後半から145円台前半のレンジでもみ合った。米国時間は、市場予想を下回る米雇用動態調査(JOLTS)を受けて大幅な米利下げ観測が強まり、ドル円は144円00銭近辺に下落。その後も、ドル安・円高の地合いが続き、終盤は143円70銭付近に水準を切り下げた。

 この日の東京早朝は、前日の海外市場での流れを引き継ぎ、143円半ばで始まった。市場予想を上回る好調な毎月勤労統計の結果が8時半に発表されると、「日銀の追加利上げを後押しする材料」(外為仲介業者)と受け止められ、143円10銭台まで下落した。仲値にかけては、五・十日に伴う実需のドル買いが入り143円80銭近辺まで浮上。その後は、143円90銭に強含んだ。

 高田日銀審議委員の午前の講演は、「過去の植田総裁や内田副総裁の発言の焼き直し」(大手邦銀)と捉えられ、影響は限定的だった。午後は、「6日に米雇用統計を控え、日経平均株価を眺めて様子見となりそうだ」(運用会社)との声が聞かれた。

 ドル円は日米の金利差縮小を踏まえ、下落トレンドとの見方が大勢だが、「FRBの大幅利下げ観測を既に織り込み過ぎており、米雇用統計の結果が予想より良ければ、ドル高方向に逆回転する可能性がある」(大手邦銀)との見方も出ている。

 ユーロは朝方に比べて、対円で上昇、対ドルで小動き。午前9時現在、1ユーロ=159円35~35銭(前日午後5時、160円29~31銭)、対ドルでは1.1079~1080ドル(同1.1054~1056ドル)。