バイオ燃料24%混合15万トン利用、日本郵船がGHG排出削減を加速する

AI要約

日本郵船は、船舶へのバイオ燃料利用拡大を進める計画を発表。30年度までにGHG排出量を45%削減する目標を掲げ、バイオ燃料を積極的に導入する方針。バイオ燃料の利用拡大を通じて環境価値を高める低炭素輸送サービスを提供予定。

バイオ燃料の供給体制が整う30年度以降に向け、現時点ではバイオ燃料への注力を図る。さらに、多様なバイオ燃料の分析やエンジン試験などを行い、バイオ燃料の課題に取り組む姿勢を示す。

日本郵船は、バイオ燃料の利用による環境価値を具体化する低炭素輸送サービスを準備中。25年度の提供開始を目指し、GHG排出削減を収益化して取り組みを加速する方針。

日本郵船は船舶へのバイオ燃料の利用を拡大する。2024年度から本格的に利用を開始し、同年度は重油にバイオ燃料を24%混合した「B24」燃料を15万トン(前年度6000トン)利用する。即効性のある温室効果ガス(GHG)排出量削減策として期待する。加えて、25年度にも低炭素輸送の環境価値を提供する輸送サービスの提供を開始し、収益化によってGHG排出削減の加速を図る。(梶原洵子)

日本郵船は30年度に事業活動を通じて排出されるスコープ1、2のGHGを21年度比で45%削減する野心的な目標を掲げる。グリーンアンモニアなどの次世代燃料の供給体制が整うのは30年度以降とみて、それまでの代替燃料は既存船で使えるバイオ燃料に注力する。

仮にバイオ燃料で21年度比5%のGHG排出量を削減する場合、30年度に71万トンのB24が必要になる。今後は他の海運会社や他産業もバイオ燃料の利用を増やすと予想される。航空機では使えないが船舶では使用できるバイオ燃料原料などの活用を検討し、安定した供給網の構築に取り組む。

一方、バイオ燃料にはコストの増加や品質・物量の不透明性など多くの課題がある。同社は社内外で協力して多様なバイオ燃料の分析・評価やエンジン試験、船舶での長期試験利用、助燃剤の開発などを推進。国際機関には開示基準の整備などを働きかける。

バイオ燃料の利用による環境価値を付与する低炭素輸送サービスを準備中で、「25年度の提供開始を目指す」(同社)。環境価値の付与方法はマスバランス方式やブック&クレーム方式を検討する。GHG排出量削減の取り組みを収益化し、さらに活動を加速する。

外航海運は世界のGHG排出量の2―3%、日本郵船は同0・03%を排出している。半分以上が船舶からの排出だ。社会的責任は大きく、同社は代替燃料以外も多様な手段を駆使して排出削減に取り組む。