企業版ふるさと納税、昨年度は過去最高の470億円 透明性に課題も

AI要約

企業版ふるさと納税の寄付総額が過去最高の470億円に達し、現在の優遇措置が5年延長されるか検討中。

制度を不適切に活用した事例もあり、見直しが必要な状況である。

福島県国見町での救急車開発事業に関する問題点も浮上し、議論が巻き起こっている。

企業版ふるさと納税、昨年度は過去最高の470億円 透明性に課題も

 内閣府は8月30日、企業が自治体に寄付すると税金が安くなる「企業版ふるさと納税」の寄付総額が、2023年度は約470億円だったと発表した。前年度の1.4倍で過去最高を更新し、寄付額の最大9割が減税される現在の優遇措置を5年延長するよう財務省に要望した。ただ制度を不適切に活用した事例も明らかになっており、見直しが迫られている。

 企業版ふるさと納税は、大都市に集中しがちな企業の税を地方に分配する目的で始まった。地方創生に資する自治体の事業に企業が寄付すると、企業は寄付額のうち最大9割分が法人税などから税額控除される。100万円を寄付すれば最大90万円減税されるしくみだ。最大6割だった減税の割合を、20年度から5年間の特例として最大9割に引き上げたところ、寄付が急増。23年度は7680社が制度を利用した。

 この制度をめぐっては、福島県国見町の救急車開発事業で、原資となった約4億円をグループで寄付したネット関連企業の子会社が、車両の製造を請け負った。寄付企業や関係企業への発注は、公正な入札を経ていれば問題ないが、町議会の調査特別委員会(百条委)は「入札に見せかけた実質的な随意契約だった」と結論づけ、「寄付金の還流システムだ」とも指摘した。