発送4か月待ちの自治体も 全国的な米不足がふるさと納税にも影響「事業者は大赤字の状態」

AI要約

現在、各地で米不足が続き、スーパーマーケットでは商品が空になるなど深刻な状況が続いている。

米不足の理由としては、記録的猛暑や自然災害などさまざまな要因が挙げられ、政府による備蓄米の放出要望もある。

ふるさと納税での返礼品としての米が人気であり、一部自治体では受注が急増しているが、供給不足により発送が遅れる状況が続いている。

発送4か月待ちの自治体も 全国的な米不足がふるさと納税にも影響「事業者は大赤字の状態」

 現在、各地で米が品薄となる状況が続いている。スーパーマーケットでは商品が空になった売り場や、「1家族1袋まで」の文字が並んでおり、SNS上では米の確保に奔走している人の姿もある。米の入手方法のひとつとして、近年増えているのがふるさと納税での返礼品。各地の米どころは、現在の米不足をどう受け止めているのか。米を返礼品としている各自治体の担当者に現状を聞いた。

 現在の米不足の理由としては、昨年の記録的猛暑や政府が主食用米の生産量の目安を示したことによる供給の減少など、さまざまな要因が挙げられており、立て続けに発生した自然災害がそれに拍車をかけているという状況だ。8月に宮崎、神奈川でそれぞれ震度6弱、5弱の大きな地震を観測したことや、台風シーズンの到来による買いだめなどが起きているとみられている。

 今月26日には大阪府の吉村洋文知事が政府に備蓄米の放出を要望したことをXで発表。「政府には100万トンの備蓄米があり、あえて倉庫に眠らせておく必要はないと思います」「府の緊急抽出調査によっても約8割のスーパー等でコメが品切れ、府民や議会からも声が届いています」と現状を訴えた。

 近年はふるさと納税の返礼品としても一般的な米。実際に米を出品している自治体は、現在の米不足をどのように捉えているのだろうか。大手ふるさと納税サイト「さとふる」で、「【2024年最新】米・パンのふるさと納税 人気お礼品ランキング(週間)」1位を獲得している北海道三笠市の担当者はこう話す。

「昨年よりも予約だけで約1.1倍に伸びており、すごい状況です。米の価格がどんどん上昇しているので、もともとの単価で注文を受けていた事業者は大赤字の状態だと聞いています。現在は間もなく収穫される令和6年度の新米の予約を開始した状態で、通常は入金確認後2週間で発送のところ、現在は4か月後までお待ちいただいている状況です」

 米不足を巡る報道から、新たにふるさと納税を考えている人から「発送は先でも本当にその量が届くのか?」といった問い合わせも届いているといい、「何とかしようと、すでに12か月分の定期便がありながら新たに12か月分を2口申し込まれた納税者の方もいらっしゃいました」と明かす。

 ブランド米「甲佐の輝き」を出品している熊本・甲佐町の担当者は「令和5年分の米の提供は厳しいです」と回答。こちらも通常翌月配送のところが、2~3か月待ちとなっている状況だといい「在庫がないため、新米の稲刈りが終わったころに発送可能という意味で時期が伸びています。稲刈りの10月、11月ごろには通常の発送スピードに戻るのではないでしょうか」と説明した。

 ただ、すべての自治体が影響を受けているわけではない。日本有数の米の産地、新潟・南魚沼市では「ふるさと納税に関して言えば、そこまでひっ迫してお米がないという感じではなく、令和5年産を希望された方にはまだ案内ができます。令和5年産の在庫をすぐにお出しできる事業者もあります」と回答。およそ5990ヘクタールの田耕地面積を誇る同市では、現在も比較的早急に米を入手することができるという。「実際、すぐに米が欲しいといったお問い合わせが来ることもあり、事業所をご紹介して申し込んでもらっています。お問い合わせがあればすぐに対応できるかな、というところです」と現状を説明する。

 農林水産省の坂本哲志大臣は27日の記者会見で、現在の米不足は新米が出回る9月ごろに解消するとの見通しを示した上で、「必要な量だけ買うなど、落ち着いた購買行動をお願いしたい」と呼びかけている。