ほんとに875ccなの!? シンプル&絶妙なデザインにメロメロ 3代目フィアットパンダ一番乗り試乗プレイバック

AI要約

1980年に生まれた3代目のフィアットパンダが日本で発売され、その魅力を探る。

デザインや運転感覚、燃費など、新型パンダの特徴について紹介。

初代パンダからの進化を感じつつ、30年前の楽しさを現代に受け継ぐパンダの魅力。

ほんとに875ccなの!? シンプル&絶妙なデザインにメロメロ 3代目フィアットパンダ一番乗り試乗プレイバック

 長い間親しまれた歴史的なベーシックカーといえば、ビートルやミニ、それにシトロエン2CVなどがあげられるが、1980年に生まれたフィアットパンダもそれに名を連ねても不思議はない。このパンダの3代目にどこよりも早く乗ってみた!(本稿は「ベストカー」2013年6月26日号に掲載した記事の再録版となります)

文:編集部

 3代目となるフィアットパンダが2013年6月1日からいよいよ日本で発売される。

 個人的なことで恐縮だが、パンダには相当思い入れがある。もう約30年近く前のことだが、我が家にデビューしたての初代パンダがやってきた。

 子供の頃からジウジアーロのファンだった弟が初任給+ローンで買ったものだが、この小さなパンダの小気味のいい走りとシンプルな内装に感心したし、なにより走る楽しさを教えてもらった。

 サーキットやワインディングという特別な場所ではなく、街の中を走っても楽しい、というラテンの実用車の楽しさを実感したのだった。

 この第一印象が強烈すぎて、大きく変わった2003年デビューの2代目パンダには、申し訳ないことだが、"食わず嫌い状態"で乗ったことは一回だけ。それもほとんど記憶にない。

 そんなこともあり、今回のニューパンダにはちゃんと乗っておかないといけないと思い、2~3日、通勤と取材など、実際に使ってみた。

 デザインは2代目を踏襲したもので、初代のような簡潔さはないが、2代目よりもバランスがいいし、男女を選ばず好まれるハズだ。

 初代パンダはひとつの完成型だろうが、今の時代、安全面からいっても当然通用しないから、現実的にはこれがパンダの発展した今流のコンセプトと考えるべきだろう。

 イタリア車らしいというか、パンダらしい遊び心は内装のパネル類にも現われている。ブラックのドアパネルのシボは"PANDA"という文字でできているし、インパネだっておシャレっぽくデザインされている。やはりこのあたりは国産車にないところだ。

 エンジンはフィアット500に使われている2気筒8バルブの875ccターボ。

 始動した瞬間、ちょっと懐かしい2気筒独特のチープ(失礼)な感じのエンジン音が聞こえてくるが、これが走り出すと、けっこうトルクがあって愉快。

 ミッションは「デュアロジック」と呼ばれるセミATで、シングルクラッチの5速。

 AUTOではアクセルの踏み込み量に応じて自動的にシフトアップされるが、この"間"が微妙。

 もっと加速してほしいところでクラッチが切られると、体だけ前のめりになったりする。だが、慣れてくるといいタイミングでアップしてくれる。

 マニュアル操作で積極的に走れば、驚くほど活発に走る。とても875ccとは思えないほど元気がいい。

 アイドリングストップもついていて、エンジン停止から発進するのにちょっとタイムラグを感じるが、ブレーキペダルをゆるめることで事前にエンジンをスタートさせるコツをつかめば、解決できる問題ではある。

 こうして市街地を中心に約270kmを走っての燃費は18.0km/L。

 JC08モードが18.4km/Lだから、ビックリするくらいの燃費だった。最近、このJC08モードの数値と実際の燃費の差が問題になっているが、この数字は立派だ。

 確かに国産のコンパクトカーは安いし、経済的だ。だが、このニューパンダは相当上級の装備がついて208万円。いろいろ装備をつけると国産のコンパクトカーもすぐに200万円近くなることを考えると、それほどパンダは高くないと思った。なにしろ、"楽しさつき"なのだ。

 30年ほど前に乗った初代パンダの実用車としての楽しさは、この新型でも立派に受け継がれ、育っていた。