吉野家「ダチョウ肉丼」(税込み1683円)の発売の裏で見逃される重要展開。同時にダチョウの成分を使った「スキンケア商品」も発売…訴求力はある?

AI要約

吉野家が新たにオーストリッチ(ダチョウ)事業を開始し、オーストリッチ丼を限定販売することを発表した。

オーストリッチ肉は栄養豊富でタンパク質・鉄分・ビタミンが豊富であり、低カロリー・低脂肪であるため、健康志向の消費者にアピールする。

吉野家の畜種分散にはリスク軽減、国内調達の安定化、政治的リスク低減などの理由があり、今後の肉市場での戦略的役割が期待される。

吉野家「ダチョウ肉丼」(税込み1683円)の発売の裏で見逃される重要展開。同時にダチョウの成分を使った「スキンケア商品」も発売…訴求力はある?

 吉野家といえば「うまい・やすい・はやい」を思い浮かべるひとが多いだろう。それがなんと「うまい・やすい・はやい・健康・美容」に昇華させようとしているとは。

 吉野家ホールディングスは聞き慣れない「オーストリッチ」事業を開始すると発表した。これはダチョウのこと。数年前から世間がダチョウの免疫力の高さに注目し、抗体を生産する技術については聞いたことがあった。しかし、その波が吉野家にまで押し寄せていたとは。

■発表内容は大きく分けて2つあった

 今回の発表内容は、大きく2つにわかれていた。

 1つ目はオーストリッチ丼(ダチョウ丼)の発表だ。6万食限定でかつ店舗限定で売り出す。スープつきの1530円(税込1683円)で、ローストビーフ風のものだ。

 吉野家にとっては、牛・豚・鶏に次ぐ4番目の肉となる。ダチョウは栄養素にあふれている。既存の肉にたいして、タンパク質・鉄分・ビタミンが多いいっぽうで、カロリー・脂質は低い。

【写真5枚】意外と無難? なビジュアルの「オーストリッチ(ダチョウ)丼」はこんな感じ

 吉野家は子会社のSPEEDIAをもち(余談だが私は一瞬、某有名情報プラットフォームと読み間違え、吉野家がいつのまに買収していたのだ、と驚いた)、茨城県石岡市にある牧場ではダチョウ500羽を飼育している。

 なお、この牛・豚・鶏・ダチョウの畜種分散については、以下の3つの観点で評価できるだろう。

(1)肉の種類を増やすことで、リスク軽減ができる

(2)輸入価格上昇に伴う、買い負けへの対策となる

(3)健康志向の意識が高い消費者にアピールできる

 (1)リスク軽減から評価できるだろう。吉野家は、そもそも肉に頼らない代替肉の研究も進めているし、商品の分散を図るのは当然ともいえる。

 また(2)現在はやや落ち着いたが円安で輸入価格が上昇している。国際的に肉類の買い負けが続くことも予想される。分散とともに国内で調達できる材料に変更することは、サプライチェーンの安定に寄与するだろう。また政治環境にも左右されにくくなる。