日米金利差縮小で為替トレンド転換も視野に 「円高ドル安」局面で業績成長が期待できるニトリ、朝日インテック、ブロンコビリーの注目3銘柄のポイント解説

AI要約

日米の金融政策に変化が訪れ、ドル円相場が大きく動いている。アメリカではインフレ目標に近づき、失業率上昇により金融政策の調整が検討されている。ドル円相場は円高に振れ、日本株は下落。円高ドル安の展開を考慮しつつ、注目銘柄を選定する必要がある。

円高恩恵銘柄の代表的企業であるニトリは、円高局面で恩恵を受ける可能性がある。海外仕入れが多く、販売は主に日本であるため、円高で輸入コスト安定し、海外売上への悪影響が軽減される。最新決算では増収増益を記録し、今後の円高局面でも期待できる銘柄として注目されている。

ニトリの円高恩恵銘柄としてのポジション強化や上方修正期待から、今後の円高トレンドでの注目度が高まっている。

日米金利差縮小で為替トレンド転換も視野に 「円高ドル安」局面で業績成長が期待できるニトリ、朝日インテック、ブロンコビリーの注目3銘柄のポイント解説

 日米の金融政策に変化が訪れ、ドル円相場が大きく動いている。7月に1ドル160円台を超えていたドル円相場は、8月に入り140円台で推移している。今後、日米の金利差縮小によって円高トレンドとなる観測も出ている中、注目すべき銘柄はどのようなものか。個人投資家、経済アナリストの古賀真人氏が解説する。

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 日本とアメリカの金融政策に大きな変化が訪れている。日銀は政府のインフレ目標としている物価+2%を安定的に達成できているとの判断で利上げを行った。一方、アメリカでは、インフレ目標はゴールに近づき、今度は失業率の上昇が訪れるなど、労働市場が冷え込み始めてきた。FRB(米連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長も8月23日、ジャクソンホール会合にて「インフレ目標は目標に近づき、政策を調整するときが来た。インフレの上昇リスクは減少し、雇用の下落リスクが上昇している」と発言した。

 これによりドル円相場は大きく動き、パウエル議長の発言終了時には1ドル=144円にまで円高ドル安に振れた。アメリカのS&P500、ダウ、ナスダックの主要指数は大きく上昇した。その一方で日本の夜間の先物指数は軒並み下落した。

 個別銘柄を見る際には、ここからの円高ドル安の展開も想定しながら選択することが必要だ。今回は円高ドル安局面でも注目できる銘柄を3つ紹介していきたい。

 円高恩恵銘柄の代表格として知られるのが家具・インテリア販売チェーン最大手のニトリである。同社では仕入れが海外、販売の90%以上が日本ということで、ここ数年の円安ドル高局面ではその恩恵を受けることがなかった。

 しかし、円高局面が来るのであれば今までとは全く逆の展開が考えられる。仕入れなどの輸入コストは安定し、海外の売上が少ないことは、これからは売上、利益へのマイナス影響も、外需銘柄に比べ圧倒的に少なくなるという、まさに円高恩恵銘柄である。

 同社では8月7日に2025年3月期第1四半期決算を発表しており、新規出店や賃上げといった取り組みも進めている。逆風であった円安局面での輸入コストの増加を乗り越え、対前年同期比で増収増益となり、今期の売上も過去最高の売上予想をしている。今後の円高局面の到来があれば、上方修正も期待できる銘柄として注目だろう。