日本の会社員の災害対応力は「最下位」レベルという耳の痛い話、災害でも「指示待ち」社員

AI要約

日本の災害対応力についての衝撃的なデータが公表された。会社員の平均対応力は低く、災害時に大混乱に陥る可能性が指摘されている。

災害時の行動力を向上させるために、専門家がBCPの形骸化や訓練の課題を指摘。従業員の災害時の出来事に対する準備度を高める取り組みも行われている。

具体的な行動力の不足が露呈し、自律的な行動が求められる状況での意識の低さが指摘されている。人命安全を確保するためには、より綿密な準備と訓練が必要とされている。

日本の会社員の災害対応力は「最下位」レベルという耳の痛い話、災害でも「指示待ち」社員

強い台風、線状降水帯、南海トラフ地震……。災害大国と呼ばれる日本で、9月1日の「防災の日」を前に、衝撃的なデータが公表された。

会社員は災害が起きたときに正しい対応を取れるのか? 約2万人の行動力を点数化したところ、平均は100点満点中46.8点。「大混乱に陥り、対応は全て後追い。人命安全確保も必要な対応ができない」という最下位レベルだったのだ。

形骸化するBCP(災害時の事業継続計画)、実施することが目的となってしまった訓練など、専門家が警鐘を鳴らしている。

調査したのは、三井不動産グループで企業の災害対応を支援するアンドレジリエンス社だ。独自に開発した「災害時行動力の見える化ツール」を企業に提供。従業員に災害発生時の出来事を動画で擬似体験させ、自身が取る行動を書き出してもらい、それを採点した。

理想は100点満点中71点以上の「必要な行動を認識しており、状況に合わせた柔軟な対応が取れる」状態だそうだが、結果は冒頭の通り平均46.8点。災害時の人命安全確保すら危うい。

結果をより詳しく見ていこう。「災害発生直後にすべきこと」として書き出すことができた、気づくことができた行動の解答率を項目別に比較したのが上の図だ。

アンドレジリエンス社でプリンシパルコンサルタントを務める伊藤毅さんは言う。

「通信手段の確保や安全確保など『誰でも思いつく』こと、また業務再開方針の決定など『ビジネスにまつわる』ことはそれなりに回答できています。一方で避難誘導や災害時の対応体制の役割分担決め、けが人が出たときの応急救護や危険な場所に倒れてる人がいないかどうか探すなど、『人の安全や命に直接関わる行動』に関しては、ほとんどが回答できていません。

どういうことかと言うと、『誰かが指示をしてくれるだろう』と考え、総務部や防災部、上司などの指示待ちになってしまい、自律的に行動するという意識がない。これが大きな問題です」(伊藤さん)