米企業の財務報告書、5社に1社が生成AIのリスクに言及

AI要約

財務報告書で生成人工知能(AI)に言及する企業が増えている。しかし、肯定的な側面だけでなく、潜在的なリスクや誤情報拡散にも言及している企業が多い。

生成AIやLLMに言及する企業数が増加しており、特にリスク開示の文脈で生成AIが取り上げられている。技術の利用に伴うリスクが企業にとって重要な課題となっている。

多くの企業がAIの導入のメリットを十分に伝えておらず、規制上の理由からリスクを強調する傾向がある。企業のビジョンが正確に反映されていない可能性も指摘されている。

米企業の財務報告書、5社に1社が生成AIのリスクに言及

 財務報告書で生成人工知能(AI)に言及する企業が増え始めている。だが、必ずしもインテリジェンスや変革における肯定的な側面を取り上げているわけではない。生成AIの影響について説明した企業の10社に7社が、自社の競争力や安全性に対する潜在的なリスクや、誤情報の拡散について触れていた。

 これは、米国に拠点を置く「Fortune 500」企業の年次財務報告書(Form 10-K)を、米国時間2024年5月1日時点のデータから分析した結果だ。具体的には、各社の報告書の内容を2022年の情報と比較し、AI、機械学習(ML)、大規模言語モデル(LLM)、生成AIといった用語を検索した。

 テクノロジー企業Arize AIの分析によれば、5社に1社以上(22%)が財務報告書で生成AIやLLMに言及していた。財務報告書でAIに言及した企業の数が2022年から250%増えたことになる。

 上場企業は財務情報の開示にあたって、既知のリスクや潜在的なリスクについて説明することを義務付けられている。生成AIのあまり肯定的ではない面に言及している企業が多いのはそのためだ。とはいえ、そうした企業の増加は、新興技術のもたらす懸念をも示している。

 10社中ほぼ7社の財務報告書が、リスク開示の文脈で生成AIに言及し、新興技術の利用がもたらすリスク、あるいは企業の競争力または安全性を脅かす外的リスクとして、生成AIを取り上げていた。AIを潜在的なリスク要因として挙げた企業の割合は少なくとも281社(56%)と、2022年から474%増えていた。

 財務報告書で生成AIに言及した企業のうち、そのメリットを挙げた企業は31%に過ぎない。つまり、多くの企業がAIの導入を投資家に売り込む機会を逃している可能性がある。「規制上の理由から、多くの企業がAIのごくわずかなリスクを過大に取り上げる傾向にあるが、このような言及だけでは、企業の全体的なビジョンが正確に反映されていない可能性がある」と、Arize AIのレポートの執筆者は指摘している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。