9月FOMCで「利下げ開始」の可能性大 米利下げ後の「日本株」「米国株」の動きを検証【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

AI要約

FRBが利下げを開始する際の過去6回の事例を検証し、米国株と日本株の動向を分析。

過去のデータから、利下げ後の半年間は米国株と日本株が同じ方向に動く傾向があることが示されている。

株価の動向は米国の景気動向に影響されるため、米国がリセッションを回避すれば株価は上昇し、逆の場合は下落する可能性がある。

9月FOMCで「利下げ開始」の可能性大 米利下げ後の「日本株」「米国株」の動きを検証【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)が解説します。

●FRBが利下げを開始した場合、米国株と日本株はどう反応するか直近6回の利下げ事例を検証。

●過去米利下げで必ずしも株高にならず、ただ利下げから半年間、日米株価は同方向に動く傾向。

●ポイントは米利下げ後の米景気動向、半年以内にリセッションなら日米とも株安、回避なら株高へ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月23日、米カンザスシティー連銀が主催する経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、「金融政策を調整する時が来た」と述べ、来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに踏み切る考えを示しました。そこで今回のレポートでは、FRBが利下げを開始した場合、米国株と日本株はどのように反応するか、過去の事例を踏まえて考察します。

具体的には、米国で過去、利下げが開始された時点を基準に、その後半年間でダウ工業株30種平均と日経平均株価がどのように推移したかを確認します。過去の利下げ時期は、(1)1989年6月、(2)1995年7月、(3)1998年9月、(4)2001年1月、(5)2007年9月、(6)2019年7月、の直近6回を対象とします。また、ダウ平均と日経平均については、それぞれ利下げが行われた日から125営業日までの騰落率を計算します。

まず、ダウ平均の動きから検証していくと、利下げ開始から125営業日までの間、(1)は9.1%上昇、(2)は11.4%上昇、(3)は22.7%上昇、(4)は3.4%下落、(5)は9.8%下落、(6)は7.0%上昇、という結果になりました(図表1)。つまり、過去6回の利下げ開始から半年間で、ダウ平均は(1)、(2)、(3)、(6)の4回上昇した一方、(4)と(5)の2回下落しており、利下げが必ずしも株高につながらないことが分かります。

次に、日経平均に目を向けると、同じく利下げ開始から125営業日までの間、(1)は11.0%上昇、(2)は34.8%上昇、(3)は17.9%上昇、(4)は8.5%下落、(5)は19.6%下落、(6)は10.9%上昇、という結果になりました(図表1)。つまり、ダウ平均と同じく、6回のうち上昇したのは、(1)、(2)、(3)、(6)の4回で、下落したのは(4)と(5)の2回となり、ダウ平均と日経平均は、初回の米利下げから半年間、同じ方向に動く傾向があるように見受けられます。