ミスや間違いを相手の気分を害さずに指摘できる魔法の言葉

AI要約

カスタマーハラスメントに関する適切な対応と、相手の感情に飲み込まれない重要性について述べられています。

指摘する際に相手の気分を害さないための魔法の言葉「もったいない」が紹介されています。

悪意ある攻撃と愛ある指摘の見極め方について具体的なポイントが述べられています。

ミスや間違いを相手の気分を害さずに指摘できる魔法の言葉

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■相手の感情に飲み込まれない

「お客さまは神様です」と昔はよくいわれたものですが、最近は、カスタマーハラスメントが問題視されています。

 1対1だと手がつけられない場合は、上の責任者を呼んで対応してもらうか、危害を加えられそうな場合は警察を呼ぶなど、適切な対応が必要です。

 そこまで深刻な事態ではない場合、相手の感情に飲み込まれないことが第一です。

 109の頃、いかにも不機嫌そうなお客さまを、入社したばかりのスタッフが接客したことがありました。するとそのスタッフは、お客さまのマイナス感情に飲み込まれて、ぶっきらぼうで冷たい態度で応対してしまったのです。

 マイナス感情はそこにいる人の数だけ増幅しますから、どんなに相手が不機嫌でも自分が飲み込まれてしまってはいけません。逆も然りで、自分がプラスの感情なら、相手もプラスの感情に引っ張られるのです。

 ですからその新人スタッフにも、「自分が笑顔でいれば相手も笑顔に引っ張られる から、マイナス感情に飲み込まれないようにしよう」と話をしました。

 人のマイナス感情に振り回されないように、日頃からプラスの引力が強い上司や同僚を味方につけておくことも大事です。

■指摘しても相手の気分を害さない魔法の言葉

 相手のためを思って言ったことでも、ミスや間違いを指摘されると傷ついたり、落ち込んだり、反発心が生まれたりする人はいます。だからといって、言うべきことを言わずにいると、事態が悪くなることはあっても良くなることはありません。

 そこで私が、相手の気分を害さずに注意するときプラスしているのが、「もったいない」です。

 以前、すごく博識で仕事もできる上司が、ありえないほど汚いデスクで仕事していて、しかも来客から丸見えでした。

「◯◯さんはいつも仕事を完璧にこなして取引先からも信頼されているのに、このデスクを見られて『結構だらしない人なんだな』と思われたらすごくもったいないですよね。もう少し片づけたほうがいいと思いますよ」

 こうやんわりと注意したら、「そうかな」とボソッとつぶやいて翌日からちょこちょこ片づけ始めたのです。これがもし、「◯◯さんのデスクは汚すぎるから片づけたほうがいいですよ」という言い方だったら、「うるさいな」と反感を買うことも。

「もったいない」には、あなたには素晴らしい魅力や能力があるという意味が込められているので、誰も言われて悪い気はしないのです。

■「悪意ある攻撃」と「愛ある指摘」の見極め方

 自分が注意もしくは叱責されたとき、それが悪意ある攻撃なのか、愛ある指摘なのか、見極めが必要な場合があります。

 前者は、自己満足のために人を責めたりいじめたり、嫉妬や憂さ晴らしのために攻撃するケース。

 後者は、その人のことを育てたい、より良くなってほしいという思いから、嫌われる覚悟であえて言うべきことを指摘するケース。

 どちらなのか見極めるポイントは、言われたあとの自分の感情です。

 悪意ある攻撃を受けたらドーンと落ち込んで後ろ向きになりますが、愛ある指摘は「言われたことを守って次はがんばろう」と前向きになれるはずです。

 最初はすぐにわからなくても、相手と話したあとに悪い気分が続いてモヤモヤしたら、そこには悪意が隠れていると思って、距離をとったほうが身のためです。

 逆に叱られてもなぜか元気になれたら、愛がある証拠。私はそういう人にお世話になりながら育ててもらいました。

(編集協力/樺山美夏)