「竹取物語」「天女の羽衣」文化財建築で妖美なおとぎの世界へ ホテル雅叙園東京で夏の涼

AI要約

ホテル雅叙園東京で夏の展示や浴衣の着付けサービスなどを楽しめる。

階段展示や庭園での涼を満喫し、日本の伝統美を堪能できる。

アートや音、香りが五感を刺激し、夏の美しい妖しさを表現した体験ができる。

猛暑が続く東京。夏らしいことをしたいけれど、危険な暑さに足も重くなる。和にあふれたホテル雅叙園東京(東京都目黒区)では、都指定有形文化財「百段階段」を舞台とした夏ならではの展示や浴衣の着付けサービスなどを展開。日本の夏の涼を楽しめる。

■竹取や天女

著名な画家らの手による天井画や欄間に彩られた7部屋へ導く階段。平成12年からこの場所を生かし、さまざまな企画展を行っている。現在行われているのは「和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~」。毎年内容は異なるが、同ホテルの夏の風物詩でもある。

たくさんの竹灯籠と和紙で作られた月による「竹取物語」、歌舞伎などで使われる衣装や大道具で表現された「葛の葉伝説」、水墨画と生け花が躍動的な「鯉の滝登り~登龍門伝説~」、深い青を基調に、光と影や植物のモチーフで空間演出された「天女の羽衣」など、多種多様な光と職人の技を掛け合わせた作品が展示されている。

涼やかな館内で、オリジナル音楽や香りなどが加わることで五感全てが刺激され、没入体験ができる。「夏の美しい妖しさをおとぎ話で表現」(担当者)しており、怪談とは一味違う物語性を持つ。かすかにきしむ床の音や畳の感触に、どこか郷愁も覚える。

■細部まで伝統美

正面玄関からすぐに出られる庭園には、今年、「涼みどこ」を設置。川床をイメージし、水辺にせせり出た縁台と番傘の下で憩うことができる。建物の影になることや絶え間ない滝の水音により、体感温度が下がったかのような涼を味わえる。

館内も随所でアートと出会える。壁にあでやかな女性たちが生き生きと描かれた「彩色木彫板」は、浮世絵をモチーフに彫刻家、盛鳳嶺(さかり・ほうれい)が木彫りの上から彩色した作品。角度を変えると女性たちの表情も変化する。回廊途中に現れるむくり屋根の門「招きの大門」は目黒雅叙園の玄関を模しており、両脇の水辺では今回の企画展と連動したあかりの展示がゆらゆらと水面を照らす。

エレベーターやトイレまでも黒漆塗りの壁に、らでん細工が施されるなど、細部まで日本の伝統美が徹底。回廊の先の庭園には大きな滝があり、滝の裏に回ることもできる。