草創期ゆえにアイデアが乱立! ジャンル確立前に登場したクロスオーバーSUV

AI要約

クロスオーバーSUVの起源について振り返る。1972年のスバル・レオーネから始まり、1980年代のAMCイーグルも存在した。

スバル・レオーネは積雪地での快適性と経済性を両立し、4WD機構を備えた先進的なモデルだった。

AMCイーグルはコンパクトからサブコンパクトまで幅広いボディーバリエーションを持ち、ユニークなコンセプトを実現していた。

草創期ゆえにアイデアが乱立! ジャンル確立前に登場したクロスオーバーSUV

今や軽自動車から超高級車まで、あらゆるセグメントに存在するクロスオーバーSUV。その定義にはっきりとした線引きはないが、基本的にはSUVとワゴン、クーペ、ミニバンといったほかのカテゴリーを掛け合わせたモデルを指す。その起源についてもこれまた明確な答えはないが、少なくともクロスオーバーSUVという呼称が生まれる前からその種のモデルは存在していた。ここではそうしたモデルを振り返ってみよう。

1972年に登場した「スバル・レオーネ エステートバン4WD」は、積雪地で使えるジープタイプより快適で経済的な四駆が欲しいという東北電力からの要望をきっかけに製品化されたモデル。走行中も切り替え可能なパートタイム4WD機構を備え、ロードクリアランスは210mmを確保し、スノーラジアルタイヤを履いて悪路踏破性を高めていた。4ナンバーの商用バンだったが、今日へと続くスバルAWDワゴンのルーツであると同時に、世界初の量産乗用車ベースの4WDでもあった。

レオーネは1975年に4ドアセダンにも4WDを加えている。これもバンには及ばないがロードクリアランスを195mmまで高めていたので、セダンとSUVのクロスオーバーだったといえるかもしれない。

近年になってその先進性が見直されているのが、AMC(アメリカン・モータース・カンパニー)が1980年代初頭にリリースした「イーグル」。AMCは1987年にクライスラーに吸収されて消滅したメーカーだが、1969年から1987年まではジープを傘下に収めていた。そのノウハウを生かして送り出したモデルがイーグルで、コンパクトの「コンコード」がベースの「シリーズ30」とより小型のサブコンパクトである「スピリット」がベースの「シリーズ50」があり、いずれも既存モデルのロードクリアランスを高めた車体にフルタイム4WD機構を組み込んでいた。

特筆すべきはそのボディーバリエーションの多さで、シリーズ30は2/4ドアセダンと5ドアワゴン、シリーズ50は3ドアハッチバックと3ドアクーペをそろえていたのだ。既存のボディーの流用と言ってしまえばそれまでだが、つまりは40年以上前にクーペとSUVのクロスオーバーもすでに存在していたのである。