88歳現役トレーダー・藤本茂さん、大暴落で“2.6億円の含み損”も翌日から急回復 「株価急落時の損切りは一番の悪手」と語る真意

AI要約

日経平均の乱高下が続き、新NISAを始めた人たちに不安が広がっている。

株式投資で成功した藤本茂さんは、乱高下にも冷静に対応しており、損失を取り戻している。

損切りよりも優良銘柄を長期保有し、下落時には買い増しすることが重要だとアドバイスしている。

88歳現役トレーダー・藤本茂さん、大暴落で“2.6億円の含み損”も翌日から急回復 「株価急落時の損切りは一番の悪手」と語る真意

 日経平均の乱高下が続き、今年から新NISAを始めた人たちを中心に不安が高まっている。8月5日には前週末比4451円安という“ブラックマンデー超え”の過去最大の下げ幅を記録したかと思えば、翌6日には3217円の値上がりで過去最大の上昇幅を更新した。この史上稀に見る乱高下に、株式投資で億円超の資産を築いた「億り人」はどう対峙したのか。88歳にして現役トレーダーである藤本茂さんに話を聞いた。

 藤本さんは、19歳で投資を始め、1987年のブラックマンデー、1990年代初頭のバブル崩壊を経験。バブル絶頂期には10億円あった資産が2億円まで激減し、一時は投資の世界から身を引いたが、2002年にインターネット取引と出会って投資を再開。以降の長い投資活動で20億円超の資産を築いたことで注目を集めた。

 今回の乱高下によって、藤本さんの資産は一時2億6000万円も目減りしたという。

「今年の異例の株高で、いつかは大暴落が来ると思っていましたが、それがいつ起こるかまでは予想ができませんでした。そして、8月2日に急落が始まり、8月5日には日経平均株価が4451円安という過去最大の大暴落となった。それでも、2日も5日も平常通りのトレードを続けました。その結果、8月5日は1日で2億6000万円の含み損を出しました。

 市場から『それでもお前にはトレードを続ける勇気はあるか、資金はあるか』と試されていると思えたので、8月6日以降も私の投資法の鉄則である“上がったら売る、下がったら買う”という日常通りのトレードを続けています。それが功を奏して、8月6日には日経平均が今度は3000円以上も上昇する急回復となったので、この日だけで1億4000万円を取り戻せました。その後も損失を徐々に取り戻しています」

 今回のように、相場全体の急落とともに自分が保有する銘柄の株価が大きく値を下げると、さらにどんどん下がるのではないかという恐怖心が芽生える。結果、損失が確定することを覚悟で保有銘柄を売って「損切り」する人も多かったようだが、藤本さんはこんなアドバイスを送る。

「そうした投資心理もわからなくはありませんが、値下がりした時に売ること、いわゆる『損切り』は一番お勧めできない悪手だと思います。今回ほどの大暴落とまではいかないまでも、株投資をしていれば、保有銘柄が急落することは日常茶飯事です。その際に焦って損を被らないためには、普段から優良銘柄を買って、それを長期保有することです。優良銘柄を選ぶポイントは、『増収・増益・増配』であるかどうか。要するに、売上が増え、利益も増え、利益が配当に回っている銘柄が優良銘柄です。

 そうした優良銘柄であれば、一時的な急落があっても焦る必要はなくなる。むしろ暴落した際の行動としては、一度冷静になって『保有したまま様子を見る』か、あるいは『もっと買い増しする』かのどちらかの策を取るべきだと考えます。私は、とくに下落した時こそ『買い増し』をお勧めします」

 豊富な経験に裏打ちされた言葉と言えるだろう。そうした考え方をもとに、藤本さんは今日も取引を続けている。

【プロフィール】

藤本茂/19歳で株式投資を始め、1986年に転換社債の投資を機に専業投資家になる。66歳でパソコンを買い、ネット取引に移行。68年間、個人投資家として相場に挑み、現在の資産は20億円を超える現役トレーダー。「投資に年齢は関係ない」がモットー。