「飛行機から花火ぶっ放す驚愕のショー」なぜ可能? 大迫力のその様子…日本では実施ムリ?

AI要約

欧米の航空ショーでは航空機から花火を射出するスペクタクルが行われており、その光景は幻想的で観客を魅了している。

航空機による花火のデモンストレーションには多様な航空機が使用され、飛行中に花火を発射することで空中に美しい光と煙の軌跡を残す。

航空法や安全基準などの整備が進んだ航空先進国と日本の間には、自家用機の扱いや規制の違いが存在し、日本の航空制度の改善が必要である。

「飛行機から花火ぶっ放す驚愕のショー」なぜ可能? 大迫力のその様子…日本では実施ムリ?

 夏に連想されるものとして「花火」がありますが、航空先進国の北米やヨーロッパでは航空ショーの最後に花火大会が行われることがあります。それも、地上から打ち上げるのではなく、会場上空を飛ぶ飛行機から花火を射出するという、驚くべき手法が取られているのです。ただ、その派手さゆえに会場近くの住民いわく、飛行機マニアでなくても夜間の航空ショーは見に行くそうです。一体どのように実施しているのでしょうか。

 欧米では、航空ショーでスタント飛行や編隊飛行を行う多くの民間飛行チームが存在します。彼らは派手なショーの内容やそれを可能とする飛行技術を競い合っています。使用する航空機の種類や数、飛行科目のメニューは多種多様でひとつのショービジネスとしての分野が確立されています。そんな民間チームによる航空ショーの中で近年、パフォーマーが増えているのが航空機による花火のデモンストレーションです。花火はおもに主翼後縁に取り付けられ、フライト中にボタン操作で発射されることが一般的です。

 会場上空で光り輝く火花をひきながら飛ぶ、航空機の姿はまるで流星のよう。加えて、花火が残した煙が美しい航跡を描き夜空に浮かび上がる様子は幻想的といえるほどです。また、時々両翼端から横方向に花火を射出するシーンもあり、観客からは大きな歓声があがります。

 使用される航空機も多種多様です。たとえばグライダーを使用するパイロットもいれば、自作の組み立て式飛行機「ホームビルド機」を使うパイロット、DHC-1「チップマンク」のような旧式の練習機を操るパイロットもいます。

 日本ではまず見られない「飛行機から花火を放つ」光景ですが、実はこのことは、自家用機分野の制度・体制において、航空先進国と日本に大きな隔たりがあることも意味しています。

 ホームビルド機が、夜間にしかも花火を射出しながら華麗な飛行を観衆の前で繰り広げる光景を目の当たりにすると、航空先進国ではホームビルド機が完全な実用機として使用されていることが実感できます。

 これは航空法や安全基準だけでなく、認証体制、検査体制などが整備され機能している証拠です。2020年代においても、ホームビルド機をいまだに実用航空機として認めていないわが国とは、一世紀の隔たりがあると筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は捉えています。

 またアメリカでは、2025年に航空法の大規模改正が施行される予定で、小型機の分野では画期的な規制緩和が実施に移されることがすでに公表されています。このままでは日本はますます取り残されていくでしょう。

 さて、本題に戻ります。航空機を使用した花火大会は毎年、春(3月末から4月上旬)にフロリダ州レイクランドで行われる「サン・ン・ファン航空ショー」と、夏(7月下旬)にウィスコンシン州オシュコシュで行われる「エア・ヴェンチャー」が有名ですが、夏になると全米各地で行われています。飛行機を使用した夜間航空ショーは、飛行機ファンでなくても十分楽しめるものとなっているのです。