プラス成長でも見通せぬ「好循環」 岸田首相が掲げた目標は道半ば

AI要約

日本経済がプラス成長に戻った。推進役の個人消費が力強さに欠けており、賃金と物価の好循環が不透明なままである。

内閣府が公表した4~6月期の実質GDPは2四半期ぶりのプラス成長に転じた。自動車産業の「正常化」が大きく貢献し、消費や投資が上向いた。

自動車産業は多様な取引先を持ち、他産業にも波及効果が大きい。大手メーカーを中心に好決算が相次いでいる。

プラス成長でも見通せぬ「好循環」 岸田首相が掲げた目標は道半ば

 日本経済がプラス成長に戻った。だが、推進役の個人消費は、まだ力強さに欠ける。岸田文雄首相が3年前の就任時から追い求めてきた「賃金と物価の好循環」は、見通せないままだ。

 物価高で消費が冷え、停滞感が強まっていた日本経済。内閣府が15日に公表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、2四半期ぶりのプラス成長に転じた。大きく貢献したのは、自動車産業の「正常化」だ。

 昨年末に発覚したトヨタ自動車グループによる認証不正問題で、ダイハツ工業など一部のメーカーが生産を止めた。対象の車種は多く、国内の乗用車シェアの2割近くを占めるとされ、売れ筋のトラックも含まれていた。その後、国土交通省による出荷停止の指示が解除され、それらが買えるようになり、消費や投資が上向いた。

 自動車産業は取引先が多様で、素材や金融など他産業への波及効果も大きい。日本経済の「屋台骨」といわれるゆえんだ。6月にトヨタやホンダで新たな認証不正が発覚したが、出荷停止になった車種は一部で、いまのころ影響は限定的だ。

 自動車大手の多くは業績も好調だ。一時1ドル=160円台になるほどの歴史的な円安で、海外での利益もふくらんだ。ほかの業界でも、大手メーカーを中心に好決算が相次ぐ。