「株価下落」、企業の26.0%がマイナス影響 景気減速感による受注減を企業が懸念

AI要約

8月5日に東京株式市場が暴落し、過去最大の下落幅となったことから、企業アンケートが実施された。

アンケート結果では、株価下落が景気への悪影響を懸念する回答が多く、大企業の方が株価下落の影響を受けやすいことが示された。

また、特定業種では株価下落の影響を強く懸念する傾向が見られた。

「株価下落」、企業の26.0%がマイナス影響 景気減速感による受注減を企業が懸念

 8月5日、東京株式市場は波乱の展開で、終値は4,451円安と株価が暴落した。これは1987年のブラックマンデー翌日の3,836円安を超え、過去最大の下落幅となった。6日には3,217円高と過去最大の上げ幅で株価は乱高下の不安定な状況が続いている。東京商工リサーチ(TSR)は8月7日から13日まで、「株価下落の影響」に関する企業アンケートを実施した。上場企業の株価下落は、経営に「マイナス」との回答が26.0%あり、大企業は約4割(36.8%)あった。一方、「影響はない」は6割超(62.5%)と冷静に受け止めていることもわかった。

 「マイナス」と回答した理由は、「景気減速感から受注が減少する可能性がある」が約8割(76.4%)、「景気減速感から設備投資を抑制する可能性がある」も約3割(29.6%)あり、株価下落が景気への悪影響を懸念する回答が多かった。

 7月11日、日経平均の終値は史上最高の4万2,224円を記録したが、8月14日の終値は3万6,442円と15%ほど低い。企業は、株価を景気の先行き指標として捉える傾向にあり、株価回復が遅れると、先行投資を含めた企業活動の意欲に「マイナス」の影響が広がりそうだ。

※ 本調査は、2024年8月7~13日にインターネットによるアンケート調査を実施し、2,614社から回答を得て、集計・分析した。

※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

 「株価下落」の影響について、「プラス」は1.2%(2,614社中、32社)で、「マイナス」は26.0%(681社)だった。また、「プラス・マイナス拮抗」が10.1%(265社)、「影響はない」が62.5%(1,636社)だった。

 規模別では、「マイナス」は大企業が36.8%(263社中、97社)、中小企業は24.8%(2,351社中、584社)と、大企業が12.0ポイント高く、「株価下落」のマイナス影響は大企業ほど大きいことがわかった。一方、「影響はない」は大企業が51.3%(135社)、中小企業は63.8%(1,501社)で中小企業が12.5ポイント高く、非上場の中小企業は株価下落の影響をさほど深刻に受け止めていないようだ。

 「マイナス」の影響と回答した企業の業種別(母数10以上)は、「金融商品取引業,商品先物取引業」が80.0%(10社中、8社)で最も高かった。次いで、「印刷・同関連業」が45.4%(22社中、10社)、「運輸に附帯するサービス業」が42.3%(26社中、11社)、「繊維・衣服等卸売業」が38.8%(18社中、7社)、「産業廃棄物処理業」が38.0%(21社中、8社)と続き、業種を問わず、「マイナス」影響を懸念する回答が多かった。