南海電鉄「聖地の玄関口」高野山駅、知られざる裏側 バスが発着する駅前ロータリー、地下には何がある?

AI要約

2024年7月、高野山が世界文化遺産に登録されて20周年を迎えた。

高野山への足を担う南海電気鉄道の高野線は、極楽橋駅でケーブルカーとバスが結節する。

ケーブルカーは壇上伽藍の根本大塔をイメージした朱色の車体で、最急勾配は29.22度。

南海電鉄「聖地の玄関口」高野山駅、知られざる裏側 バスが発着する駅前ロータリー、地下には何がある?

 2024年7月、真言密教の聖地である高野山が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録されてから20周年を迎えた。

 高野山への参拝者・観光客の足を担う公共交通機関が南海電気鉄道の高野線の電車だ。大阪市中心部のターミナル難波から、特急「こうや」や一部の快速急行・急行が急勾配・急曲線の山岳区間を経て極楽橋駅まで直接乗り入れる。

■ケーブルカーとバスの結節点

 極楽橋駅の高野線ホームに到着した乗客は、改札を出ることなく川を渡る橋を兼ねた連絡通路でケーブルカーの乗り場へ向かう。南海電鉄では「鋼索線」と呼ぶケーブルカーの極楽橋駅は標高539m。約5分の乗車で同867mの高野山駅に到着する。両駅の標高差は東京タワーの高さほどある。

【写真】高野山の主要観光地へ向かうバスが発着する駅前。その地下に巨大空間が広がっていることは知られていない(50枚)

 途中に改札がないため意識することはないが、難波―高野山間の運賃1430円のうち、難波―極楽橋間の電車分が930円。対して極楽橋―高野山間のケーブルカー分は500円を占める。最後のひと区間はそれだけの価値があるといえそうだ。

 特急こうやを利用する場合は790円の料金が必要。極楽橋での乗り継ぎを含めて難波から高野山まで約1時間40分で行くことができる。

 高野山の駅舎はレトロな雰囲気の建築。駅前は南海りんかんバスのターミナルとなっており、高野山のシンボルともいえる根本大塔などがある壇上伽藍や、弘法大師空海の入定の地とされる奥の院方面のバスが発着する。

 山中に開けたこの駅前のロータリー、利用者は気づきようがないが、地下に意外なほど広い空間がある。置かれているのはケーブルカーの「巻上室」。2系統の原動機、減速機が置かれ、運転中は主索輪と従索輪、案内索輪という巨大な滑車が回転してロープを動かす。

 ケーブルカーは2019年3月にデビューした4代目の車両。高野山開創1150年記念大法会を控えて1964年に登場した先代から実に54年ぶりに新造された。長さ1020mのロープでつながった2両編成の客車が上下する。最急勾配は高野山駅ホームの562.8パーミル(29.22度)。

 壇上伽藍の根本大塔をイメージしたという朱色が目を引く車体は24.2度の傾斜がついている。最大乗車定員は211人(乗務員1人を含む)だが、乗客が多い場合などには臨時便を出して対応する。