レトロファン注目のXSR900GP!1か月で1000台を受注した大人気モデル開発者の思いとは

AI要約

ヤマハ発動機から2024年5月に発売された「XSR900GP」は、期待を大きく超える受注を記録し、好調な滑り出しを見せている。

開発プロジェクトメンバーは、想定外の反響に喜びを表明し、新たな魅力を創造する取り組みについて語っている。

広報担当者も、モデルのデザインや機能における詳細なこだわりを説明し、往年のマシンに敬意を払いながらも現代的な解釈を加えている。

レトロファン注目のXSR900GP!1か月で1000台を受注した大人気モデル開発者の思いとは

ヤマハ発動機から2024年5月に発売された「XSR900GP」。発売1か月で年間販売計画台数を越える受注となり、好調な滑り出しをみせている。そんな注目のマシンの開発プロジェクトメンバーによるインタビューがヤマハから発表された。メンバーからも「これほどの反響をいただけるとは」という喜びの声が上がっている。

文/Webikeプラス 編集部

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期待や想定を大きく超えた「市場の反響」

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「やりきれば伝わるし、思いを込めれば刺さるということを実感させてもらっています。(開発プロジェクトの)みんなの思いが、お客さまに届いたことが何より嬉しく、ありがたいですね」

そう話すのは、当社・PF車両開発統括部の橋本直親さん。今年5月20日に発売されたスポーツヘリテージ「XSR900GP」が、約1か月で販売店受注1,000台以上を記録する好ダッシュを見せている。この動向に、開発プロジェクトリーダーを務めた橋本さん自身も、「企画や開発の段階から、一定層にはご支持いただけるだろうという期待や想定はありましたが、正直、これほどの反響をいただけるとは思い描いていませんでした」と振り返る。

「XSR900GP」は、1980年代の世界グランプリを席巻したレーシングマシン、「YZR500」をオマージュしたスポーツヘリテージモデル。当時、日本市場は空前のバイクブームで、この時代に二輪車免許の取得者数もピークを迎えている。各メーカーの威信を賭けたGPレースの人気も高く、レーシングマシンを模したレーサーレプリカの市販車が市場を牽引するなど、二輪車需要にも大きな影響を与えていた。

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ノスタルジーを超越した「新たな魅力」を創造

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「とは言え、私たちが狙ったのはレーサーレプリカや時代の再現ではありません。モチーフとなったYZR500にヤマハのヘリテージを感じたり、純粋にカッコ良さを感じた若い世代のエンジニアたちが、放課後活動のような取り組みをスタートさせたことがきっかけです」(橋本さん)

やがて彼ら有志は、企業ミュージアム「コミュニケーションプラザ」に通って往年のレーシングマシンの造形や機能部品等を研究し、また部品を試作しては試行錯誤するなど活動を加速させていった。

その結果、各種電子デバイスなど先進技術が詰まった「XSR900」に、往年のマシンに敬意を払いながら、同時に現代的な解釈も加えて外観・機能をパッケージするという企画に昇華。目指したのは、「ノスタルジーを超越した新たな魅力の創造」だったという。

お披露目となった昨秋の「ジャパンモビリティショー」では、肉抜き加工が施されたステーなどを見つけては懐かしそうに顔をほころばせるベテランライダーに加え、想定していなかった意外な反応も。

「たとえば“かわいい”という評価もその一つです。大胆な赤と白の塗分けや、外装の丸みを帯びたフィニッシュは往年のレースシーンのアイコンでもありますが、その記憶を持たない世代にはまるで見え方が違うようです」と、自らも会場で説明員を務めた橋本さん。「44歳の私が、ギリ、時代の残像を持っている世代。私より若い人の目にどう映っているのか、もう少し詳しく知りたい」と、新たな視点で販売動向を見守る。

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広報担当者のこだわり

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「往年のマシンに敬意を払いながら、現代的な解釈も加えた」という橋本さんは、具体的な事例をいくつか挙げる。その一つが、フロントカウルを固定するための丸パイプのステーについて。「YZR500のこのステーに着目したデザイナーやエンジニアが、ただ再現するだけでなくきちんと意味を持たせたいと考えたのが、デジタルガジェットの固定という活用でした」とのこと。非常にわかりやすく、マシンを象徴する事例といえるだろう。

※ヤマハ発動機プレスリリースより