会話上手は「うなずき」の回数が違う…あなどれない「非言語コミュニケーション」のスゴイ効果

AI要約

会話中の悩みは他人にいい印象を与えようとする欲求から生まれる。

相手の話を聞くときに意識すべき行動とは、うなずきや相づち、アイコンタクトなど。

相手の話を的確に受け止め共感し、信頼感を与える反応が大事。

「会話中にうまいことが言えない」「会話が続かない」「ついしゃべりすぎてしまう」――こういった悩みは、“他人にいい印象を与えよう”とする欲求から生まれてくるのだとか。そんなプレッシャーから解放される方法について、コミュニケーションコンサルタントの吉原珠央氏の著書『シンプルだからうまくいく会話のデザイン』より、内容を一部抜粋してお届けいたします。

仕事でもプライベートの会話の中でも、「うなずきながら話を聞く」「相づちを打つ」「相手の目を見る」などのことを、相手の話を聞くときに意識している人、また、そうした情報を「知っている」という人は、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、こちらを見てアイコンタクトを取りながら、適度にうなずいてくれて、「はい」「なるほどね」などと相づちを打って話を聞いてくれる人と、まったく反応せずに話を聞いている人がいるとすれば、前者のほうが「ちゃんと聞いてくれているな」と、感じられるのは一目瞭然です。

「この人は、ちゃんと話を聞いてくれている」と感じることで、その相手に大事な話をしてみようという勇気が持てますし、役に立ちたい、協力していきたいという感情が湧き始めるものではないでしょうか。次第に会話の内容を深めていくことで、信頼となり、互いの関係性が作られていくことが想像できます。

もちろん、「話がおもしろい」「説明がわかりやすい」などと思われることも大事かもしれません。しかし、そうした話し方のスキル以上に、自分の話を相手がどのように聞き、受け止めてくれているのかといった態度のほうが、大事なときがあります。相手は自分にとって、信用に値すべき人物か否かを、私たちは会話の中での相手の「聞き方」を通して判断しているようにも感じます。

アメリカの心理学者のマタラッツォ氏の研究(1964)によれば、面接の場面における面接者のうなずきが、面接を受ける人の会話量を増やすことを明らかにしています。

あらゆる会話の場面でこれと同じことが言えないまでも、まったく反応せずに相手の話を聞く人に比べ、うなずきや相づちを適度に打つ人のほうが、話し手から得る情報の量が多くなるため、会話の質が高まり、会話を通して、互いの距離を近づけるきっかけをつかみやすいとも言えそうです。

こうした、うなずきや相づちといった反応のほか、目線や表情の動きなどは、非言語的な行動として、会話の中で「あなたの話を、ちゃんと聞いていますよ」といった『聞き上手』と示す条件を満たす要因のひとつになっています。

ただ、たとえあなたがうなずきや相づち、アイコンタクトをしながら話を聞いているとしても、それだけで話し手が満足し、あなたが話し手の言い分を理解できているかといえば、それはまた別の問題です。

むしろ、先ほどのような非言語的な行動を用いた「聞き方」が完璧ではなくても、相手の話したことを的確に解釈し、気持ちを理解して共感し、聞き手に安心感や信頼感を与えられる反応ができる人であれば、最終的には本物の『良き聞き手』となれるはずです。