トランプが暗号資産寄付欲しさに「ビットコイン大国宣言」

AI要約

トランプ前大統領がビットコイン会議で演説し、米国を暗号の首都にすると約束。

トランプはビットコインへの寄付を積極的に受け入れ、巨額の資金を誇示。

米国政府が21万ビットコインを保有していることから、戦略的ビットコイン準備金を設立する提案が出された。

トランプが暗号資産寄付欲しさに「ビットコイン大国宣言」

ドナルド・トランプ前大統領は7月27日、テネシー州の州都ナッシュビルで開催されたビットコイン会議で1万人以上を前に演説し、「米国は地球上の暗号の首都となり、世界のビットコイン超大国になる」と約束した(下の写真)。具体的には、徹底的な規制緩和を行い、「戦略的国家ビットコイン備蓄」(strategic national Bitcoin stockpile)を創設する。

この日、トランプは、この3年半の間、現政権は暗号とビットコインに対して、だれも見たことがないような戦争を仕掛けてきたが、自分が当選すれば、「ジョー・バイデンとカマラ・ハリスの反暗号聖戦は終わる」とし、「私が就任した瞬間、迫害は止まり、あなた方の業界に対する敵視は終わる」とした。

そのねらいは、もちろん、多額の寄付である。演説のなかで、トランプは、「ビットコインと暗号での寄付を受け入れるアメリカ史上初の主要政党候補者」であることをアピールした。さらに、自身の選挙キャンペーンがこの2カ月で暗号通貨による寄付から2500万ドルを集めたことまで明らかにした。

(出所)https://nypost.com/2024/07/27/us-news/trump-pledges-to-make-us-the-crypto-capital-of-the-planet-during-speech-at-worlds-largest-bitcoin-conference/

演説で明らかにされた「ビットコイン備蓄」の創設は、決して荒唐無稽な提案ではない。なぜなら、米国政府は、ハッカーやさまざまな法執行活動から押収した21万ビットコイン(約140億ドル相当)を保有していると言われているからだ。

実は同日、シンシア・ルミス米上院議員(共和党)は、「戦略的ビットコイン準備金」(strategic Bitcoin reserve)を設立することで米ドルをインフレ上昇から強化し、急速に進化する世界金融システムにおける米国のリーダーシップを確固たるものにするという提案を発表した。どうやら、トランプ提案と、ルミス提案は対応関係をもっていたようだ。

米国は現在、金や石油など、米国の国家安全保障と独立に不可欠な特定のハード資産の戦略的準備を継続している。これに倣って、戦略的ビットコイン準備金(備蓄)を設立し、デジタルハード資産で米ドルを補強しようというのである。このビットコイン備蓄は、ビットコインを20年間保有することが求められるが、その期間中に支払いに使用できるのは、米国の国家債務の返済のみであるという。

具体的な法案の内容は、(1)米財務省が運営する安全なビットコイン保管庫の分散型ネットワークを構築し、国のビットコイン保有に対して最高レベルの物理的およびサイバーセキュリティを確保する、(2)一定期間にわたり100万単位のビットコイン購入プログラムを実施し、米国が保有する金準備の規模と範囲を反映させながら、ビットコイン総供給量の約5%の株式を取得する、(3)連邦準備制度と財務省内の既存の資金を分散することで賄う、(4)個人ビットコイン保有者の自己管理権を肯定し、ビットコイン備蓄は個人の金融の自由を侵害しないことを強調する――といったものである。