ヤマハ発動機、二輪事業の貢献で増収増益も、国内は「新モデルの端境期」 2024年12月期中間連結業績

AI要約

2024年12月期中間連結業績を発表したヤマハ発動機は2期連続で過去最高の売上収益・各利益を達成。特に二輪車事業での新興国での販売増加が貢献し、業績向上を実現。

二輪車事業ではブラジルやインドでの販売増加や円安の影響で増収増益を達成。一方、国内では需要低下やシェア喪失との課題があるものの、新商品投入を見据えて展望を示す。

他の事業部門ではRV事業とSPV事業が低調だったが、船外機やロボティクスなどが需要増加により増収となっている。

ヤマハ発動機、二輪事業の貢献で増収増益も、国内は「新モデルの端境期」 2024年12月期中間連結業績

ヤマハ発動機は8月6日、2024年12月期中間連結業績を発表。2期連続で過去最高の売上収益・各利益となった。特にコア事業である二輪車事業で、新興国でのプレミアムモデルの販売増加などが貢献した。

連結業績については、売上収益は1兆3484億円(前年同期比1220億円・10.0%増)、営業利益は1544億円(同129億円・9.1%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益は1131億円(同98億円・9.5%増)となった。

◆二輪事業が大幅増収増益も、国内は「新モデルの端境期」

コア事業の二輪車のうち、ブラジル、インドにおいて販売台数の増加および台当たり単価が向上したことにより増収に。営業利益は、二輪車事業の増収効果とコストダウンに加え、円安によるプラスの効果もあり増益となった。二輪を含むランドモビリティ全体では、売上収益8961億円(前年同期比986億円・12.4%増)、営業利益907億円(同228億円・33.6%増)となっている。

一方で国内の二輪車販売は、3万6000台と前年同期比から2000台の微減。通期では8万2000台を見込んでいる。

会見に出席した日高祥博社長(高は“はしごだか”)は、パンデミック以降の国内二輪車需要の揺り戻しが大きいとしながら、「国内の需要の低下以上にヤマハはマーケットシェアを失っている」とした上で、「原付1種、2種はそれなりのポジショニングだが、今シーズンは軽二輪、自動二輪がちょうどモデルの端境期になっている。来期以降、本格的にシェア奪回のいろんな商品が仕込まれているので、今期は残念だがシェアダウンを甘んじて受け入れながら、来期以降に新しい商品でお客様に評価していただきたいと思っている」と展望を語った。

下期に向けては、国内二輪車の需要全体の底上げについてリアルなイベントやさまざまな取り組みを通じて、「リアルの世界も楽しいよということを多くの方、若い人たちに知っていただきたい。そんな活動を展開していきたいと思っている」と話した。

◆四輪バギー、マリンは欧米の需要減が影響、連結業績予想は据え置き

ランドモビリティ全体では二輪が好調な一方で、RV事業(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル)、SPV事業(電動アシスト自転車、e-Kit、電動車いす)が低迷した。

RV事業では、主戦場の北米での需要が前年を下回り、同社の販売台数は前年並みだったもののモデルミックスの悪化により減収。競争環境の激化に伴う販促費や製造経費の増加により減益となった。

SPV事業では、国内向け電動アシスト自転車は、販売台数が前年を上回った。一方、e-Kit(電動アシスト自転車のユニット)は、メイン市場である欧州での在庫調整局面継続により販売台数が減少し、減収。営業利益は、販売減少ならびに販促費の増加により、減益となっている。

このほか、同じくコア事業のマリン(船外機やボート)では、売上収益2977億円(前年同期比13億円・0.4%減)、営業利益532億円(同126億円・19.2%減)と減収減益に。船外機の需要は中南米では堅調な需要が継続した一方、欧米では物価および金利上昇の影響により需要が減少したとしている。一方、販売台数は昨年の部品不足やサプライチェーン混乱による供給制約が改善されたことにより増加している。

ロボティクスは、売上収益459億円(前年同期比4億円・0.8%減)、営業損失40億円(前年同期:営業利益5億円)。産業用ロボットは、主要市場である中国での需要の停滞が続いていることが響き、販売台数が減少している。

2024年12月期通期の連結業績予想については、為替の乱高下も踏まえた上で、2024年2月の前期決算発表時に公表した予想(売上収益2兆6000億円、営業利益2600億円)を据え置いた。