エミン・ユルマズ氏「人工的な半導体バブルは危うい」、株価暴落前からAI半導体ブームに警鐘を鳴らしてきた

AI要約

日本の株式市場が大激震を経験し、半導体株や金融株が暴落した。米国市場でも同様の下落傾向にある。

エコノミストのエミン・ユルマズ氏は「AI半導体バブル」に警鐘を鳴らし、エヌビディアの成功にも疑問を投げかけている。

エヌビディアの主要な取引先が自社のGPUを取得するために融資を受けるなど、需要の過剰継続によるリスクや課題が浮上している。

エミン・ユルマズ氏「人工的な半導体バブルは危うい」、株価暴落前からAI半導体ブームに警鐘を鳴らしてきた

週明けの8月5日(月)、日本の株式市場を大激震が襲った。日経平均株価の終値は前営業日比4451円安の3万1458円と、過去最大の下げ幅だ。半導体株や金融株は軒並み大暴落。米国株式市場もエヌビディアやインテルをはじめ、半導体株の下落が止まらない。

が、この予兆を早くからつかんでいた人物がいる。エコノミストのエミン・ユルマズ氏だ。エミン氏は「AI(人工知能)半導体バブル」について、かねて警鐘を鳴らしていた1人。ここでは大暴落前に説いていたエミン氏の主張を公開する。

8月5日(月)に発売した週刊東洋経済8月10日-17日合併号では「エヌビディアの猛威 半導体 覇権」を特集。エヌビディアの強みと死角、巻き返しを図る日本勢、さらに国内のデータセンター事情などを掲載している。

 ただいま絶好調の米エヌビディアだが、はたして死角はないのか──。

 エヌビディアは目下業績が好調で、時価総額も3兆ドル超と米マイクロソフトを追い抜いて、一時世界トップになった。しかし本当に、主力のGPU(画像処理装置)に対する需要がオーガニック(自律的)なものなのか、よく考えなければならない。実需ではなく、自分で自分の需要をつくり出してはいないか、ということである。

■エヌビディア製GPUが買われ続けるという前提

 例えば、米コアウィーブというエヌビディアの取引先の1社は、エヌビディアから出資してもらった資金などによって、エヌビディア製のGPUを買っている。同社はAIクラウドコンピューティングのスタートアップであり、エヌビディア製GPUを使ってデータセンターの運営を行っている企業だ。

 またコアウィーブは2024年、ブラックストーンやマグネター・キャピタル、カーライルなどの大手投資ファンドから75億ドルの融資を受け、エヌビディアのGPUの購入などに充ててもいる。

 つまりエヌビディアにとっては、コアウィーブが多額の資金調達を経て、顧客として自社のGPUを多く買ってくれるほど、売り上げが拡大するという構図になる。コアウィーブは米国内で14カ所のデータセンターを運営しているが、これを2024年中には28カ所まで倍増する予定である。こうしたデータセンター事業によってマネタイズができなければ、多くのボリュームを期待しているエヌビディアのシナリオは崩れるのだ。

 ほかにも課題はある。