AIバブル論の渦中に…エヌビディアが誇る「モンスターチップ」に欠陥

AI要約

エヌビディアがAI半導体市場を独占していたが、新製品の設計ミスにより発売が遅れていることが報道されている。

次世代AIチップ「ブラックウェルB200」の発売が3カ月遅れる見込みで、重大な欠陥が見つかったためと報じられている。

これにより、主要ビッグテック企業のAI開発計画や投資業界で懐疑的な声が広がり、AI市場全体が影響を受ける可能性が高い。

AIバブル論の渦中に…エヌビディアが誇る「モンスターチップ」に欠陥

人工知能(AI)半導体市場を独占するエヌビディアのAI半導体新製品発売が設計ミスにより遅れているという外信報道が出てきた。破竹の勢いで市場を掌握していったエヌビディアに急ブレーキがかかり、最近バブル論まで出ていたAI市場全体に及ぼす影響に関心が集まる。

IT専門メディアのザ・インフォメーションはエヌビディアの次世代AIチップ「ブラックウェルB200」の発売が予想より最小3カ月遅れるだろうと報道した。設計に重大な欠陥が見つかったためだ。3月にエヌビディアが公開したブラックウェルシリーズは「B100」「B200」、そしてグラフィック処理装置(GPU)2個と独自の中央処理装置(CPU)を結合したスーパーチップの「GB200」がある。前作「ホッパー」より演算速度が2.5倍速くなり、別名「モンスターチップ」と呼ばれる。

メディアは「台湾TSMCのエンジニアが大量生産を準備しながら欠陥を見つけた。エヌビディアは最大顧客のひとつであるマイクロソフトと他のクラウドサービス会社に欠陥と生産遅延の事実を知らせた」と伝えた。

主要ビッグテックのAI開発計画にも支障が生じた。マイクロソフト、グーグル、メタ、オープンAIなどは大規模言語モデル(LLM)、チャットGPT基盤になるソフトウエア、AIアシスタントと自動化開発に向けすでに数百億ドル相当のブラックウェルチップを注文しているという。エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は「10-12月期ごろにブラックウェルが本格的にデータセンターに設置され始めるだろう」と明らかにしていた。

だが発売遅延で来年1-3月期までブラックウェルチップの大量生産は難しくなった。メディアは「一部企業は来年1-3月期にデータセンターで大規模チップクラスターを運営する既存の計画に支障をきたすことになるだろう」と予想する。

そうでなくても投資業界ではAI事業に対する懐疑的な声が出ている状況だ。天文学的な金額を注ぎ込むのに比べ収益がわずかだったりすぐに可視化しないという理由からだ。米シリコンバレーのベンチャーキャピタル、セコイアキャピタルは最近の報告書で「AIに投資されるすべての資金を回収するには年間約6000億ドル(約87兆8961億円)の売り上げを創出しなければならないが、ビッグテックの業績はこれに満たない」と指摘した。フィナンシャル・タイムズによると、上半期のマイクロソフト、メタ、アマゾン、アルファベットのAI関連投資は総額1060億ドルで前年同期比50%増加した。

投資比の収益増加傾向は鈍化している。グーグル、マイクロソフト、メタ、アマゾン、アップル、エヌビディア、テスラのビッグテック7社を指す「マグニフィセント7」の収益増加率は昨年の50%台から今年は約30%に落ちた。

「AIバブル論」にもビッグテックはAI投資を継続する計画だ。アルファベットのピチャイCEOは「われわれには過小投資リスクが過剰投資リスクよりはるかに大きい。われわれが過度に投資していると判明したとしても(AIは)明確にわれわれに広範囲に有用なインフラ」(4-6月期業績カンファレンスコール)としながら投資の意志を示した。

一部では収益性問題を克服できなければAIや半導体がバッテリー産業に続く一時的需要停滞に陥る恐れもあると懸念する。天文学的なAIインフラ投資額と比較して実際に稼ぎ出す金額が極めて少ないという指摘が相次いでいる。チャットGPTを運営するオープンAIは今年50億ドルの赤字を記録すると予想される。ゴールドマン・サックスの株式戦略家ライアン・ハモンド氏は「ビッグテックが莫大なAI支出にともなう成果を見せることができない場合、状況があっという間に悪化する可能性が大きい」と話した。