「過剰な反応」株安に関西企業からは冷静な声、消費落ち込みには警戒感

AI要約

日経平均株価の史上最大の下げ幅に対する企業や経済界の見方。一部では過剰な反応を指摘しつつも、景気動向への不安が広がっている。

円高ドル安水準の影響が懸念される中、外国人客の購買意欲の低下や小売業界への打撃が懸念されている。

一方、円高は輸入原材料の価格高騰に苦しんできた企業にとっては朗報であり、業績向上や資本還元が期待されている。

「過剰な反応」株安に関西企業からは冷静な声、消費落ち込みには警戒感

日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録した5日、関西の企業からは「過剰な反応も含まれる」などの冷静な見方が示される一方、為替が約7カ月ぶりの円高ドル安水準となったことに対しては「外国人客の購買意欲がしぼむ」などと懸念の声も聞かれた。

日経平均株価は終日全面安の展開となり、今後の景気動向にも不安を投げかけた。

クボタは「(日銀による)利上げに対する過剰な反応も含まれるため、もう少し時間を置かないとコメントが難しい。ただ局面が変わったことは事実だ」と説明した。

株安が消費の落ち込みに進展すれば、小売業界には打撃。大阪市内の百貨店の担当者は購買意欲の低下などにつながる可能性があるとして「インバウンド(訪日客)需要に不透明感が増す中、ダメージは避けられない」と警戒を強める。

円安で外国人が日本で割安に買い物をできる状況が続き、百貨店は免税売上高を伸ばしてきた。同担当者は円高についても「(外国人が)観光に来ても百貨店の購買にはつながらなくなるのでは」と危機感を示した。

海外に製品を輸出する企業にとっても、円高は懸念材料だ。農機や建機を主力とするクボタは海外で販売する製品の55%を国内で生産している。円安の恩恵が大きかっただけに、為替の動向によっては業績に影響を与える可能性もある。

一方、円安のため、輸入する原材料の価格高騰に苦しめられてきた国内メーカーにとって、円高は朗報でもある。大阪のある大手食品メーカーは「(原材料の輸入コストが下がり)わが社にとってはメリット」とし、「利益が増えれば株主還元も増やせる」と話す。

関西経済連合会の松本正義会長はこの日の市場の動きについて「消費マインドへの影響などを懸念している。必ずしもわが国経済の実態を反映しているとはいえず、早期に市場が落ち着きを取り戻すことを望みたい」とのコメントを出した。