新局面に突き落とされた米株市場、次のローテーションでは何を買うか

AI要約

株式市場は連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを逃し、急落した。ハイテク株が下落し、公益事業株や不動産株が好調だった。投資家は配当の高い株を検討している。

投資家は不動産や公益セクターに資金を移し、ハイテク株にはあまり注目していない。過去には小型株が注目を集めた時期もあった。

投資家は引き続き市場の動向を注視し、どの株を買うべきか検討している。

(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げのチャンスを逃したために経済は急降下するとの懸念が、先週の株価急落を引き起こした。市場では一つのローテーションが終わり、新たなローテーションが始まった。この先、株式相場はどうなるのか投資家は思案を巡らせている。

株式相場の急落は、連邦公開市場委員会(FOMC)が金利据え置きを発表した後に始まった。パウエルFRB議長が送った9月利下げのシグナルはこれを止められなかった。ハイテク株の比重が高いナスダック100指数は急落し、調整局面に入った。S&P500種株価指数は2日間で3.2%下げ、2日間での値動きとしては2023年3月以来の大幅安だった。

すべてのセクターが犠牲になったわけではない。確かにハイテク株と消費者裁量株は手痛くやられた。しかし公益事業株と不動産株は先週、S&P500種で最優秀パフォーマンスセクターとなった。高い配当を支払うこれらの銘柄は、国債利回りが低下する局面で投資家に選好される。

ウェルス・アライアンスの社長兼マネジングディレクター、エリック・ディトン氏は「雇用市場の冷え込みを背景に金利は低下していくとみられるため、ローテーション取引は今後も続く。しかしどの株を買うべきかが問題だ。大型ハイテク株を減らす必要はない。強固なバランスシートとバリュエーションがその理由だ」と話す。「従って買うべきなのは高配当株だ。小規模企業は債務を多く抱え、確実な投資先ではない」と述べた。

この動きはすでに定着し始めている。ブルームバーグ・インテリジェンスのデータによると、投資家は先週、不動産と公益セクターの米上場投資信託(ETF)に10億ドル(約1500億円)近くを投じた。一方のハイテク株ETFへの流入はわずか3億ドルだった。

株式市場で最近起きたローテーションとしては、これが2つめであることは言うまでもない。

最初のローテーションは6月下旬に勢いを増し、小型株の需要が急増した。当時のラッセル2000指数は株価収益率(PER)が予想利益ベースで23倍と、S&P500種21.2倍とほぼ同水準だった。これほど狭いバリュエーションギャップは経験則上、小型株買いのシグナルと解釈される。投資家は大手ハイテク企業のポジションを削り、リスクの高い中小企業の株を手に入れた。