【悠仁さまと東大推薦入試】一流学者との共同論文に「特権」批判は妥当なのか 推薦入試の現場を取材して見えてくる別の風景

AI要約

秋篠宮悠仁さまがトンボを題材とした学術論文を発表し、東大の推薦入試を受験する話題が持ち上がっている。

一部からは推薦入試利用に対する批判もあるが、その実績や疑念について検証が行われている。

推薦入試の問題点や背景についても関係者の意見が報じられ、議論を呼んでいる。

【悠仁さまと東大推薦入試】一流学者との共同論文に「特権」批判は妥当なのか 推薦入試の現場を取材して見えてくる別の風景

 大学進学を控える秋篠宮悠仁さまは、トンボを題材とした学術論文を発表し、今夏も学会での発表をおこなうことが話題となっている。そして、その実績を活かして東京大学の推薦入試(学校推薦型選抜)を受験するというシナリオが有力視されているが、推薦入試を利用されることについては賛否両論が出ている。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートするシリーズ「悠仁さまと東大推薦入試」。【全4回の第1回】

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 秋篠宮家の悠仁さまの進学先がどこになるのだろうかと注目されている。最も有力視されているのが、推薦入試で東大に進学されるというコースだ。

 東大の「学校推薦型選抜」では基礎学力以外に高校での活動や探究学習の実績を評価する。悠仁さまはトンボの研究に熱心に取り組まれ、宮内庁職員と、国立科学博物館の研究主幹でトンボ研究の第一人者の清拓哉氏と共同執筆の論文を作成し話題になった。

「赤坂御用地のトンボ相―多様な環境と人の手による維持管理―」というタイトルで、冒頭の英文要約に始まり、25ページにわたる論文には豊富な写真の資料も掲載されている。高校生の探究レポートのレベルを超えた立派な学術論文だ。

人の手によって管理された赤坂御用地の自然の中で調査をしているが、東京の生物のレッドリスト記載の12種の絶滅危惧種も見つかっている。

 この論文や学会での発表を「実績」として、悠仁さまが東大の推薦入試を受験されるのではないかと憶測されているわけだ。

 一方で2024年6月12日配信の「デイリー新潮」では、この論文が「世間からあらぬ批判を招いている」と報じた。

 まず、研究の主題が「赤坂御用地」という一般人が容易には入れない場所を対象にしていること。もう一つは、トンボ研究の第一人者である清拓哉氏と共同で論文を書いたという点だ。

 論文は「皇室特権」を利用した産物で、推薦入試を見越した“実績作り”ではという疑念を、世間に抱かれてしまっているのではないかというのだ。

〈金持ちの子弟が高名な専門家を雇い共著論文を執筆してもらえば合格できてしまう〉

 このような批判があると記事では報じている。この記事は話題になり、配信されたYahoo!ニュースでは1000を越えるコメントがつき、ジェンダー学の第一人者で武蔵大学・社会学部の千田有紀教授もコメントを寄せている。千田教授のコメントを一部引用する。

「悠仁さまの東大推薦入試の利用は、AO入試などの総合型選抜の問題点を浮き彫りにすることになりました。他の人ができない経験や成果は、本人の才能や努力によるのはもちろんですが、それにしても経済資本や社会関係資本(いわゆる伝手やコネ)が大きくものを言います」

「一般受験をされることが一番スッキリするとは思うのですが、どうなのでしょうか」

 私もかつてならこの記事やコメントを読んで、「その通りだ。推薦入試はお金持ち優遇入試だ」と思っただろう。しかし、この春以降、集中的に推薦入試全般を取材してきた記者としては、違う事情が見えてきたので述べていきたい。