円の暴落どころか紙くず化が始まってもおかしくない…儲けるのではなく資産防衛のため持つべき株と金融商品

AI要約

株式はインフレに強い資産として知られています。米国株が大幅に上昇している中でも、今後のインフレに備えて慎重に買う必要がある。

米国株市場には大暴落リスクがあり、アメリカの量的引き締めなどが影響を与える可能性がある。冷静な判断が重要である。

インフレヘッジとしては、債券ベアファンドのTMVを購入することをおすすめ。債券価格の変動に連動し、インフレに対する防衛策として有効だ。

■米国株も大暴落リスク大、買うなら慎重に

 株式はインフレに強い資産として知られています。物価が上がると、企業が販売する商品やサービスの価格も上がります。その分、企業は儲けやすくなります。企業の業績が良くなれば、それを反映して、株価が上昇しやすくなるのです。その意味で、株式はインフレに強いのです。今後のインフレに備えて、米国株を買うのは悪くないと思います。米国株はずいぶん上がってしまいましたが、まだ上昇する余地は残っていると考えられます。

 ただし、どこかで日本のバブル崩壊時のような暴落が訪れる可能性が高いです。詳しくは後述しますが、今後もアメリカが量的引き締めを続けるであろうことを考えると、しばらくは上昇してもどこかで暴落するリスクがあるのです。上昇が終わる最後まで利益を得たいと考えるのであれば、自分の哲学に応じて、いつでも撤退できるようにしながら、こわごわと買ってください。日本のバブルが崩壊する前、多くの日本人は「日経平均は8万円まで行く」「いや、10万円だ」と言っていました。いまの米国株では、そうならない冷静さが重要です。

 私自身は「頭と尻尾はくれてやれ」と考えています。これは有名な相場格言で、株価の動きを魚に見立てたものです。株価が底のときに買って、天井で売ることができれば、最も利益が大きくなります。魚も頭から尻尾まで1匹丸ごと食べることができれば理想的です。ところが実際にはうまくいきません。頭も尻尾もすべて食べようとすると、うまくいかないのです。「底値で買おう」「天井で売ろう」とは思わないのがいいということです。それに、私がいまドル資産をすすめているのは、資産防衛が目的です。儲けるためではありません。

■狙い目は下がれば上がる「債券ベアファンド」

 また、インフレヘッジの手段として、私は債券ベアファンドのTMV(米国20年債ベアファンド)をすすめています。これはインフレ懸念で米国の長期金利が上昇したときに儲かる商品です。「ベア」とは「熊」のことです。熊は攻撃するときに、上から下に爪を振り下ろします。その動作から相場が下がることをイメージして、下落相場をベアマーケットと呼びます。

 TMVは金利が上昇して債券価格が下がるときに上昇する商品ですが、3倍のレバレッジが効いている点には注意が必要です。レバレッジとは「てこの原理」を意味します。レバレッジ3倍とは、債券価格が1下がったときに、ファンドの価格が3上がるように設計されていることを意味します。反対に債券価格が1上昇したときには、ファンドは3下落することになります。値動きが非常に大きい商品なのです。

 私自身は、TMVはまだ上がると考えています。現時点では米国長期金利が経済実態に比べてまだ低く、今後も上昇する可能性があるからです。

 インフレ時の対策としては、不動産、株、絵画等がいいのですが、すでに値上がりして手を出しにくい状況です。ならば、インフレで長期金利が上がることで利益の出るTMVによってインフレヘッジをしようというのが私の考えです。