メタ、広告好調で増収増益5Q連続 支出増も株価上昇

AI要約

米メタが2024年7月31日に発表した2024年4〜6月期決算は、売上高や純利益ともに前年同期比で大幅増加し、AIへの投資が成果を上げていることが示された。

インターネット広告事業の売上高は特に目覚ましい成長を見せ、利用者数も増加。メタのAI技術が収益基盤の向上に寄与していることが強調された。

世界規模で広告売上高が2桁成長し、AIへの投資に対するメタの自信が高まっている一方、投資に疑問を持つ専門家も存在する。

 米メタが2024年7月31日に発表した2024年4~6月期決算は、売上高が前年同期比22%増の390億7100万ドル(約5兆8500億円)で、6四半期連続の増収となった。

 純利益は73%増の134億6500万ドル(約2兆200億円)で、5四半期連続の増益だった。決算説明会では、AI(人工知能)への投資がインターネット広告事業の成長を支えているとアピールした。

■ 「売上予測の改善と利益増加」を好感

 1株利益は5.16ドル(前年同期は2.98ドル)と、市場予想を上回った。24年7~9月期の売上高は、385億~410億ドル(約5兆7700億~6兆1400億円)を見込む。加えて、24年通期の設備投資額の見通しが370億~400億ドル(約5兆5400億~約5兆9900億円)になるとした。従来の見通しは350億~400億ドルだった。

 マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は説明会で、「新しい推論プロジェクトを立ち上げるには長いリードタイムがかかる。手遅れになるよりは、必要になる前に能力を構築するリスクを負うほうがよい」と述べた(メタの発表資料)。

 米CNBCによると、これら発言を受け、同日の米株式市場の時間外取引でメタ株は約7%上昇した。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はメタの24年4~6月期決算について、「投資家から、支出増の懸念よりも、売上予測の改善と利益の増加が大きく評価された」と報じている。

■ インターネット広告22%増収、利用者数7%増加

 全体の98%を占めるインターネット広告事業の売上高は383億2900万ドル(約5兆7400億円)となり、前年同期から22%増加した。SNS(交流サイト)「Facebook(フェイスブック)」や写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」など、グループ全体のサービスの24年6月における日間アクティブ利用者数は32億7000万人で、前年同月から7%増えた。

 事業部門別売上高は、ネット広告とアプリ関連サービスを合わせた「Family of Apps(ファミリー・オブ・アプス)」が前年同期比22%増の387億1800万ドル(約5兆8000億円)。

 次世代コンピューター基盤と位置付けるAI及びメタバース関連事業「Reality Labs(リアリティー・ラボ)」は3億5300万ドル(約530億円)で28%増加した。ただし、同事業の営業損失は44億8800万ドル(約6720億円)で、前年同期(37億3900万ドル)から拡大した。

■ 広告売上高、世界全地域で2桁成長

 世界の地域別ネット広告売上高は、前四半期に続きすべての地域で2桁成長を達成した。米国・カナダは前年同期比17%増の168億4700万ドル(約2兆5200億円)。

 欧州は27%増の93億ドル(約1兆3900億円)、アジア太平洋地域は20%増の78億8800万ドル(約1兆1800億円)だった。アフリカなどその他の地域は35%増の50億3600万ドル(約7500億円)だった。

■ 「AIは将来確実に利益を生み出せる」

 CNBCによると、メタも他のテクノロジー大手と同様にAIモデルのトレーニングや複雑な計算の実行に必要な米エヌビディア(NVIDIA)製GPU(画像処理半導体)に数十億ドル(数千億円)を投じている。専門家の中には、投資の大部分が、将来の収益増加という期待に基づくものであることから、こうした支出判断に疑問を呈する人もいる。

 だが、メタは決算説明会で、AIへの投資が既に同社の収益基盤に貢献していると強調した。スーザン・リーCFO(最高財務責任者)は、「中核となるAI技術はメタの広告プラットフォームとレコメンドシステムの改善に役立ち、これが収益増加をもたらした」と説明。一方、現在開発に力を注いでいる生成AI製品は、「時間の経過とともに新たな収益機会が生まれ、確実に利益を生み出せるようになると期待している」と述べた。ネット広告が好調であれば、AIへの投資増を十分にカバーできるとみているようだ。