「もし今、就職先を選ぶなら、あえて最悪のところを狙う」秋元康さんが時代の仕掛け人になれた本当の理由

AI要約

成功する人は逆の方向に行く勇気を持つことが重要である。大企業の社長や起業家たちは、この考え方を大切にしている。

松本大さんはマネックス証券の創業者であり、外資系金融の設立を選んだことで逆張りした。彼は不確実な世の中で自らの力を最大限に発揮することに注力してきた。

20代から松本さんは、自らの力を最大限に発揮できるかどうかを重視し、競争心と効率を追求してきた。

社会で成功する人は何を大切にしているのか。大企業の社長や起業家たちを数多く取材してきたライターの上阪徹さんは「みんなと逆の方向に行く勇気を持てるか。それを選べた人が、大きな成果を手にしているのは事実」という。松本大さんと秋元康さんの取材からお届けする――。

 ※本稿は、上阪徹『彼らが成功する前に大切にしていたこと 幸運を引き寄せる働き方』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

■松本大さんの世の中への逆張り

 この人の選択も、かなり「逆張り」だったのかもしれません。

 マネックス証券の創業者、松本大(おおき)さんです。

 東京大学法学部卒業後の1987年にアメリカのソロモン・ブラザーズ・アジア証券に入社。1990年にゴールドマン・サックス証券に転じ、1999年にソニーと共同でマネックス証券を設立しました。

 今でこそ、外資系金融は人気の就職先の一つになっていますが、当時はまだまだマイナーな存在でした。しかも1987年といえば、バブル前夜の日本経済の絶頂期。日本の銀行が、大きな存在感を示していた時代だったのです。

 しかし、松本さんは冷静に見極めていました。

 もともと世の中は不確実なものだと思っていたからです。

 特に理由があるわけではなかった。学生の頃から、肌で感じていたのだそうです。

■不確実で流動的であってほしい

 松本さん自身はサラリーマン家庭に生まれ、保守的に育てられていました。どちらかというと、冒険とか、新しい展開とか、そういうものを考えるような環境にはありませんでした。

 ところが大学時代、ある友人の家族との付き合いが松本さんに変化をもたらすのです。

 友人の家は事業家でした。世の中は、決められた選択肢の中でしか生きられないわけではない。彼らは、そんな思いを十分に抱かせてくれたのだと言います。

 松本さん自身も、不確実で流動的な世の中であってほしいと思っていたのかもしれない、と語っていました。こうに違いない、こうでなければならない、という固定化した発想を持ちたくなかったのです。

 働くことについて20代から考えていたことは、「自分の力をどれだけ最大限に発揮できるか」こそが重要だということ。もともと競争心が強く負けず嫌い。自分がどれだけ吸収できて、どれだけ新しいものを生み出せて、結果としてどれだけ効率よく自分の力が出せたかに、強い興味を持っていたと言います。