出世レースに「しがみついて苦しむ人」と「あっさり手放して楽になる人」のたった1つの違いとは?

AI要約

他人の評価に依存せず、自分らしく生きるためには、自己受容と自己肯定感の違いを理解する必要がある。

他人の思考や行動は変えられないため、自他の境界を明確にすることが重要である。

過度な他者からの評価に左右されず、自分を認めることで真の自己を見出すことが大切だ。

出世レースに「しがみついて苦しむ人」と「あっさり手放して楽になる人」のたった1つの違いとは?

 周囲の評価に振り回され、自分らしさを失っていませんか? 精神科医の藤野智哉さんが「職場の悩み」に答える本企画。後編となるこの記事では、「他人の評価に依存しない生き方」について目からウロコの人間関係論をお届けします。(構成/三浦愛美)

● 「他人は変えられない」人間関係の基本

 誰かが自分のことを嫌っている。そんなとき、相手の「誤解を解きたい」「本当の自分を知ってほしい」と願うのが人間というもの。

 でも、こうした「他者に分かってもらいたい」という願望は、早々に手放した方がよさそうです。

 「他人の思考や行動は、変えることができない」は、人間関係の基本です。

 「話せばわかる」とか「本当の自分を知ってもらえば好きになってくれるはず」などと信じたい気持ちはわかりますが、「他人は変えられないし、変わらない」のです。

 それはごく近しい人間、例えば家族や友人でも同じです。妻や夫、我が子や親、あるいは親友や恋人でも、相手の心を思い通りにコントロールすることはできません。

 近くにいるからこそ、自分と同じ感覚でいるものと錯覚しがちですが、どれほど親しくても、他人は他人なのです。

 「好き・嫌い」「評価する・しない」「感謝する・しない」は、100%、相手の心の領域で、他人が自由に操作することはできません。

 「自分」と「他人」は違う領域である。この「自他境界」をはっきりさせるところから、今回の話を始めていきましょう。

● 他人の評価に依存しない生き方

 人は他者から褒めてほしい生き物です。それが過ぎると、八方美人を目指し、承認欲求に溺れ、他者からの悪口にすぐ凹んでしまうメンタリティに陥ります。

 その背景には、いつも「他人から肯定されていないと不安」「他者に受け入れてもらわないと、自分の居場所がなくなる」といった漠然とした恐れが隠れています。

 もちろん、誰もがけなされるより褒められたほうが嬉しいですし、学校や職場でも、友人が大勢いたほうが、日常生活は営みやすいでしょう。

 でも、過度に「他者からの評価」を気にし過ぎてしまう人は、「自分で自分を受容できていない」からかもしれません。当の自分自身が、自分を全面的に肯定できていない。

 その自信のなさを、他者からの評価で埋めようとしてしまっているのです。

● 「自己受容」と「自己肯定感」の違い

 「自己受容」は「自己肯定感」とは、似ているようで少し違います。

 「自己肯定感」は、「~ができる私」という発想に向かいがちですが、「自己受容」は、「あるがままの私」を全面的に受け入れられている境地です。お金があろうとなかろうと、社会的に成功してようとそうでなかろうと、いまある自分の存在をまず認める。これが「自己受容」です。

 「自己受容」ができている人は、自分が何者かを知っています。

 何を愛し、何を大切にしていきているか、どんな人生が自分の理想なのかを知っているのです。

 これ、意外なことに分かっている人って、そう多くはないんです。