社員1人当たり22億円、石油商社ビトルが過去最高65億ドルの配当金

AI要約

ブルームバーグによると、独立石油商社最大手のビトル・グループが昨年、自社最高の65億ドルの配当金を支払ったことが明らかになった。

この配当金は、約450人の所有者のうちの一人当たり約1400万ドルに相当し、経営幹部はさらに多額を受け取った可能性が高い。

資源商社は巨額の配当のみならず、幅広い資産再投資にも注力しており、ビトルも再生エネルギー企業への投資などを計画している。

(ブルームバーグ): 独立石油商社最大手のビトル・グループは昨年、自社最高の65億ドル(約1兆18億円)を配当金として支払った。エネルギー危機が資源商社に驚異的な富をもたらしている構図を如実に物語っている。

ビトル・グループは約450人の社員が所有。昨年の配当金は一人当たり約1400万ドルに相当し、経営幹部はこの数倍を受け取った可能性が高い。ブルームバーグ・ニュースが確認した監査済みの財務諸表によれば、ビトル・グループは過去15年に同社パートナーらに合計250億ドル余りを分配した。

ロシアのウクライナ侵攻が火を付けた商品市場のボラティリティーが、大手商社のトレーダーや経営幹部に千載一遇の大当たりくじを引かせたことを、ビトルの配当金は浮き彫りになった。監査済み財務諸表によれば、ビトル・グループが柱とするオランダのビトル・ホールディングでは昨年の利益が132億ドル。前年の151億ドルを下回ったが、それまでの過去最高の3倍を上回る。

ビトルと肩を並べる株式非公開のエネルギー商社大手にシンガポールのトラフィグラ・グループとキプロスのマーキュリア・エナジー・グループ、ガンバ-・グループが挙げられる。ブルームバーグ・ニュースの算出によれば、これら4社の純利益合計は過去2年に500億ドルを超えた。2018年から19年の2年間ではわずか68億ドルだった。

ビトルを所有しているのは社員1700人のうち450~500人だと、同社経営幹部が今年、ニューヨークの裁判所で陳述した。トラフィグラは約1400人のトレーダーが同社を所有する。ビトルのラッセル・ハーディー最高経営責任者(CEO)は4月のインタビューで、5%超を所有する株主はいないと述べた。マーキュリアとガンバ-はこれと対照的に、経営トップの1人もしくは2人に権益が集中している。

資源商社は巨額の配当を支払うだけでなく、油井から製油所、再生エネルギーに至る幅広い資産再投資に記録的な利益を振り向けている。ビトルは2023年、ポーランドの再生エネルギー開発会社ボルテックス・エナジーおよび米シェール生産会社のデラウェア・ベイシン・リソーシズに投資した。