アメリカン・シングルビートの鼓動 ホンダ「FT400」は新時代のスポーツバイクだった!!

AI要約

1982年に登場したホンダ「FT400」は、新時代のシングルスポーツ車として注目を集めた。

「FT400」はビッグシングルの新感覚として、ユーザーに魅力的な要素を提供していた。

デザインチームは最新技術を取り入れながら、ビッグシングルの乗り心地と万能性を両立させることに成功した。

アメリカン・シングルビートの鼓動 ホンダ「FT400」は新時代のスポーツバイクだった!!

 ホンダ「FT400」は、1982年に新時代のシングルスポーツ車として登場しました。オフロード系のビッグシングル車は欧米共に需要が高く、各メーカーはそれぞれ優れたシングルエンジン車を開発・販売しています。

 しかしロードモデルのビッグシングルは「欧州の古い名車をオマージュしたモデル」が多く、「FT400」から40年以上経った今でも新感覚と言えるビッグシングルの成功例は限られています。

 現在の目で観察すると「FT400」は車体の各所にホンダの個性を感じるデザイン要素が盛り込まれていますが、当時は見たことの無い、そしてどこにもカテゴライズできないニューカマーでした。

 アメリカンモータースポーツマニア達の支持を獲得しましたが、V型4気筒エンジンが登場する時代、シングルスポーツ車に振り向くファンは多くありませんでした。

 高速域でのビッグパワーを重視しないユーザーにとって、シングルスポーツは魅力的な要素が多く含まれています。スリムで軽量な車体により、ハンドリングやコーナーリングは軽快です。またエンジンの中低速域トルクは市街地やツーリングなどでも加速を楽しむことができます。

 デザインチームは最新技術を盛り込みつつ「ビッグシングルの乗り心地を保ちながら万能なマシンを作る」を基本コンセプトに、オフロードモデルの「XL」「XR」シリーズのエンジンをベースに使用します(このエンジンはアメリカのダートトラックマシンのエンジンとしても活躍していた)。

 単気筒エンジンのデメリットは高回転域での振動ですが、「FT400」のエンジンは振動を低減させる2軸バランサーを採用しています。その効果は快適性だけでなく、フレームの軽量化にも寄与しています。さらにハンドルとステップはラバーマウントで振動対策を施す徹底ぶりです。

 ビッグシングルのキック始動には慣れが必要ですが、「FT400」はセルモーターを装備しており、単気筒を楽しむためのハードルを下げていました。