ハーレー「ロードグライド3」を試乗したからこそ感じる トライクの安全性と現実

AI要約

ハーレーダビッドソンのトライクシリーズはバイクとは異なる乗り味を持つ

コーナリングや直進時の運転感覚には慣れが必要であり、操作も特殊なスキルを要する

日本の法規では四輪免許で乗れるが、新たな免許カテゴリーの制定も考慮すべき

ハーレー「ロードグライド3」を試乗したからこそ感じる トライクの安全性と現実

 2014年に登場したFLHTCUTGトライグライド・ウルトラを皮切りに、ハーレーダビッドソンのラインナップに加わった『トライク』シリーズ。今回はその最新モデルであるロードグライド3を走らせてみたのですが、当たり前のことをあえて最初に言ってしまえば、やはりその乗り味はバイクとはまったく違います。

 通常、バイクはコーナリングの際、車体を傾けリーンさせて走らせますが、ホンダの「ジャイロ」などと異なり、『左右に傾かない三輪』という構造上、当然、トライクではそうはいきません。コーナリングの際、車体はクルマのようにロールし、横Gを感じるのですが、最初に乗った際は多くのライダーが違和感を覚えるであろう独特の乗り味となっています。

 さらに直進時でも道路の轍を踏んだ際に感じる車体の「横揺れ」はバイクとはまったく異なる乗車感覚であり、おそらく「バイクの動き」を期待するライダーなら違和感を覚えることは必至。ともすれば慣れるまでに相当な時間を要するかもしれません。三輪という構造上、「立ちゴケ」をしないという安心感があり、それゆえに528kgという車重でも問題ないといえば問題ないのですが、やはりトライクはトライク。「バイクとは、まったく別モノ」と考えるのが妥当でしょう。

 ちなみにコーナリングの際にハンドルを切る感覚は、曲がる方向のグリップをグイと手前に引き、反対側のグリップは逆に前に押し出すという感じになるのですが、こうした一連の動作は意外と腕のチカラを使います。また狭い路地の交差点では後ろタイヤが縁石などにヒットしないよう車幅感覚をアタマに入れなければならないでしょうし、ハイスピードでの急なコーナリング、特に下り坂のタイトコーナーなどは横転の危険性もはらんでいると言わざるを得ないのも正直なところでしょう。

 日本の法規上では四輪の免許さえ所有していれば誰でも乗ることが出来る上、ノーヘルOKという点も魅力なのでしょうが、バイクともクルマとも違う乗車感覚や操作方法は、まったく別の乗り物として新たな免許カテゴリーが制定されたとしても決して不思議ではありません。むしろトライクはそれほどまでに特殊な運転のスキルが求められます。