なぜ定年退職者は"銀行の別室"で絶対NGの金融商品を買うのか…退職金数千万円が半減も泣き寝入りのワケ

AI要約

定年退職者は金融機関から見るとカモであり、退職金は褒美ではないことに注意が必要。

定年前後には無計画な散財や間違った投資相談に注意が必要であり、自己責任で行動することが重要。

退職金を使う際には慎重に検討し、窓口での即決はせず他の選択肢と比較をすることが大切。

■定年退職者は「カモ」退職金は褒美ではない

 定年前後はお金の出入りに変化がある時期なので、失敗すると取り返しのつかないことになる。まず、頭に入れておいてほしいのは「金融機関からすれば、定年退職者はカモということ」と山中氏は警鐘を鳴らす。

 「毎月の給料とは文字通りケタが違う退職金を手にして『お金持ちになれたかも(カモ)』と勘違いをしてしまいがちですが、そんな人は金融機関からするとまさに“カモ”。甘い言葉にのせられてしまわないよう、自覚してください」

 特に定年前後は時間ができるため、いろいろなことを考えて、普段とは違う行動に出てしまいがちだ。「自分は大丈夫だろう」と思っている人こそ要注意。そこで、山中氏が提唱する「定年前後でやってはいけないこと6つ」を順番に説明していこう。

 1つめは、退職金を「ご褒美」と思って安易に使ってしまうこと。

 「預金通帳に見たことがないようなゼロがたくさん並んで『何十年も働いてきたご褒美だ』と、気が大きくなってしまうのです。冒頭で紹介したAさんのように、無計画に散財してしまわないようにしましょう」

 2つめは、退職金をさらに増やそうとして、相談する相手を間違えることだ。お金のことだからと真っ先に銀行の窓口に行き、「おすすめの投資商品はなんですか」と聞く人も多いという。

 「ノルマを課せられていない銀行員はいません。そこに、何でも買いますというカモが現れたら、そのときにもっともノルマで苦しんでいる商品、つまりそれだけ売れていない商品をすすめてくることは想像に難くないでしょう」

 実際に、山中氏に相談にきたBさんも痛い失敗をしたという。給与振込口座の銀行の支店長から電話があり、支店の応接室に通され、丁重な扱いを受けたことですっかり舞い上がり、リスクの高い商品を購入してしまった。

 「Bさんが投資したその商品は、結局株価の大幅下落によって資産価値は半減してしまいました。その後、相談しようと支店を訪れたら支店長はすでに異動していなくなっていたのです」

 投資はすべて自己責任だ。窓口で即決せず、必ず他の金融機関や他の商品と比較検討すること、と山中氏は強調する。対面で会って話すなら、質問は「何に投資する商品ですか」「手数料はいくらですか」「税金はどうなりますか」などといった一般的な話にとどめ、もし個別の商品をおすすめされたら「何を選ぶかは、後日決めます」と、その場を去るようにしよう。直接断れないという人は、対面相談ではなくネット証券を使うのもアリだ。